入学式から2日後に大号泣…名門校でもがく日々、3年生ラストも「涙で終わった」
大津CB五嶋夏生、悔し涙で始まり、最後も目に涙
190センチのサイズは一際ピッチで目立つ。これだけのサイズを持ちながら、俊敏性もあり背後へのターン、前への出足も鋭い。将来性十分のCB(センターバック)五嶋夏生は大津のディフェンスリーダーとしてチームを高円宮杯プレミアリーグ王者に導き、常にチームの先頭を走ってきた。 【画像】ベスト4が決定! 第103回高校サッカー選手権、トーナメント勝ち上がり一覧 だが、高校最後の大会となる選手権では2回戦で鼻を負傷し、3回戦の流通経済大柏(千葉)との大一番ではフェイスカードをつけて気迫のプレーを見せるが、1-2の敗戦。彼の高校サッカーは幕を閉じた。 「ずっとこの背番号に重みを感じながらプレーしてきました。大津の5番とCBとして最終ラインを守る重みは相当ありましたし、それが僕を成長させてくれた」 試合後のミックスゾーンではあふれる涙を堪えながら毅然と報道陣の前で思いを口にした。 五嶋の高校サッカーは涙から始まった。大津の入学式からわずか2日後のプレミアWEST開幕戦の静岡学園(静岡)戦。いきなりスタメンに抜擢されたが、CBとして屈辱の4失点。自身のミスも失点につながり、試合後に大号泣した。 その悔しさから彼は朝練で徹底して1対1や空中戦を磨いた。そして2年生になると背番号5を託された。 5番はこれまで植田直通、野田裕喜など歴代のディフェンスリーダーが背負ってきた大津を象徴する背番号。さらに大津のCBと言えば、谷口彰悟も歴史を紡いできたレジェンドに当たる。どんな時でも前向きで、チーム全体に安心感を与える存在にならないといけない。五嶋は常にその責任感を背負ってプレーし続けた。 そして今年、ついに長きに渡る大津の歴史に新たな1ページを刻んだ。歴代の先輩たちもなし得なかった初の全国制覇を、ユース年代で一番勝ち獲ることが難しいプレミアリーグで成し遂げた。まさに大偉業のキャプテンとして歴史に名を刻んだ。 「最初も悔し涙で、3年間のラストもこういう涙で終わった。最後は笑顔で終わりたかったけど、そんなに甘いものじゃないんだなと」