古墳の石室の写真見て「かっこいい!」魅力にはまり…出土品グッズ販売する「古代フェス」イベンターに
「それは靫。矢を入れておくケースで、武人さんが背負っていたんだよ」 【写真】「出張古代フェス」に出品された古墳を形をしたカラフルなピアスなどのアクセサリー
今月1日、福岡県那珂川市の複合文化施設で開かれた「出張古代フェス」。県内遺跡の出土品をモチーフにした10種類以上のグッズが入った「考古ガチャ」を回した男の子がカプセルの中身を取り出すと、隣で見ていた中村麻衣子さん(44)が声をかけた。入っていたのは八女市の岩戸山古墳から出土した石靫をかたどったピンバッジだ。中村さんが「古代イベンター」として、こうしたハンドメイド作家による古代グッズ販売などを行うイベント「古代フェス」を始めて今年で10年となる。
大阪府出身。元々から考古学に興味を持っていたわけではなかった。大阪で動物トレーナーなどの専門学校で広報の仕事をしていたが、2008年に当時遠距離で付き合っていた夫が暮らす福岡市に引っ越した。
当初は住んでいる土地の良さが見つけきれず、福岡をあまり好きになれずにいた。しかし、2年ほどたった頃、福岡でできたカメラマンの友人から、県内の古墳の石室を写した写真を見せてもらったことが転機となる。
古い石が組まれた部屋の様子に「かっこいい!」と驚き、石室の中に入れると聞いて、夫や友人を誘って早速、古墳を巡った。石室に描かれた鮮やかな装飾など、はるか昔にそこで生きていた人の足跡を感じ、魅力にはまっていった。
知りたい遺跡や出土品を博物館や資料館で調べるうちに、福岡の歴史にも興味を深め、いつの間にか福岡への愛着が湧いていた。もっと考古学を学びたいと思っていた時に、九州国立博物館(太宰府市)が女性を対象にした「きゅーはく女子考古部」を設立するということを知って参加。同部などで活動をするうち、今度は教わった情報を発信したいと考えるようになった。
博物館などで出土品を見ても、その出土品のグッズが販売されていないことを残念に思っていたこともあり、福岡で知り合ったハンドメイド作家に声をかけ、九州の埴輪や古墳などをモチーフにしたグッズ制作を依頼。2015年に個人で会場を借りて「古代フェス」を開催すると、考古学ファンら約200人が来場して盛況となった。