[特集/プレミア戦線異常アリ 03]最多得点チェルシー、セットプレイ王アーセナル ロンドンの両雄がリヴァプールを追い落とす
序盤に苦しい日程を消化 シーズン後半の巻き返しに期待
とはいえ慢性的な怪我人の多発は現在も続いており、特にディフェンスラインの怪我人の多さを克服することは逆転優勝を狙うには欠かせない要素だろう。守備の柱であったCBのガブリエウ・マガリャンイスがマンU戦、フラム戦と連続で戦線を離脱。今夏加入のリッカルド・カラフィオーリも同じで、彼も何度か短い離脱を繰り返している。右SBとして盤石なプレイを見せていたホワイトは手術を受けたため8週間ほどの離脱。冨安健洋は1試合に途中出場したのみで再び負傷に見舞われ、チームを離れて別調整となっていたようだ。ここまで守備陣に怪我人が重なろうとはアルテタ監督も想定外だったに違いない。しかし全員が揃えば欧州屈指と言ってよいほどの強力な陣容であり、昨季のアーセナルの強さは失点の少なさに要因があった。今季も選手が揃わないなかでリヴァプールに次ぐ失点の少なさで、守備の堅固さは維持している。どれだけ守備陣に怪我人が戻り、フィットできるかが後半戦の鍵を握りそうだ。 スケジュールに目を向けると、明るい要素もある。リーグ序盤戦で思わぬ苦戦を強いられたアーセナルだが、シーズン前半に苦しい試合が集中していたことも一因だった。第2節アストン・ヴィラ戦(A0-2◯)、第4節トッテナム戦(A0-1◯)、第5節マンチェスター・シティ戦(A2-2△)、第9節リヴァプール戦(H2-2△)、第10節ニューカッスル戦(A0-1●)、第11節チェルシー戦(A1-1△)、第14節マンチェスター・ユナイテッド戦(H2-0◯)をすでに消化し、3勝3分1敗。これは決して悪くない戦績で、ポジティブに捉えていいのではないか。対BIG6の1戦目はすべて終わらせ、アストン・ヴィラやニューカッスルなど難所のアウェイ戦も済ませた。このことが、シーズン後半の巻き返しに向け効いてくる可能性がある。 まだシーズンは長いが、チェルシーとアーセナルにとって首位リヴァプールとの2戦目は絶対に落とせない試合、言い換えれば逆転のチャンスだ。15節終了時点ではリヴァプールが1試合少ない状態で勝ち点「35」、2位チェルシーが「31」、3位アーセナルが「29」であり、決してひっくり返せない差ではない。チェルシー×リヴァプールは5月3日、リヴァプール×アーセナルは5月10日(いずれも日本時間)となりシーズン最終盤だが、ここまでチェルシーとアーセナルは勝ち点を落とさず食らいついていく必要がある。この連戦が今季の運命を分けることになるかもしれず、シーズンの最後の最後に優勝戦線が混沌とする、そんな予感が漂っている。 文/前田亮 ※ザ・ワールド2025年1月号、12月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部