なでしこジャパン、メンバー最終選考サバイバルの行方。「一番いい色のメダルを目指す」パリ五輪へ向けた現在地
激戦区のFWでアピールしたのは?
FWは激戦区だ。ワントップで田中とレギュラーを争う植木理子もメンバー入りが濃厚だろう。そうなると、残りはひと枠。ここは浜野と千葉が争うことになる。浜野は今回の2連戦で、代表初ゴールを含む2ゴールと申し分ない結果を残した。チェルシーでフォア・ザ・チームの精神とプレーを身につけ、守備の貢献度も高い。 千葉は前回の活動に呼ばれていないからこそ、今回は短い時間で大きなインパクトを残したかったはずだ。背後への抜け出しは他の選手とは違う野生味と迫力があり、1ゴールと結果を残したが、試合後は喜びもそこそこに、自身のパフォーマンスを冷静に振り返っている。 「背後に飛び出す良さも出せて得点も取れましたが、あと2点は取れたと思います。そこは反省点です。本大会になったらその1点が大事だと思うので、しっかり質を上げていきます」(千葉) 最後になるが、今回の2連戦で選手としての価値をさらに高めたのは藤野だと思う。戦術理解度が高く、状況に応じてゲームメイカー、チャンスメイカー、ゴールゲッターと役割を変えることができる。ステップアップのスピードが早く、なでしこの未来を感じさせてくれる20歳だ。2戦目の後半は、代表ではほとんどやったことのないワントップに抜擢されたが、圧巻のパフォーマンスで代表5ゴール目を記録した。 「FWになったことで、後半は前線3枚の距離感を近くして、(自分が)攻撃のスイッチを入れて、後ろの選手についてきてもらうこと、前線からアクティブにプレスをかけることで相手のリズムを狂わせることを意識しました。(FWは)やりたい気持ちはあります。背後に動き出せばゴールが一番近いし、得点を取る確率も高くなるので。大事な時に空中戦で勝ってキープできなかった場面もあるので、(FW起用も)選択肢に入れながら取り組んでいきたいと思います」(藤野) なでしこジャパンはこの後、メンバー発表と7月13日のガーナとの強化試合を経て、いよいよ本大会に臨む。「一番いい色のメダルを目指す」と公言している指揮官は、どんな18人でパリに臨むのか。メンバー発表を楽しみに待ちたい。 <了>
文=松原渓[REAL SPORTS編集部]