なでしこジャパン、メンバー最終選考サバイバルの行方。「一番いい色のメダルを目指す」パリ五輪へ向けた現在地
5月31日と6月3日にニュージーランドとの2連戦を行ったなでしこジャパン。連日30度を超えるスペインのムルシアで試合は行われ、池田太監督はパリ五輪本番の環境をイメージしたシミュレーションとともに、新たなシステムにもトライした。2試合を通じて見えたチームの現在地とともに、18人のパリ五輪メンバー選考の行方を展望する。 (文・撮影=松原渓[REAL SPORTS編集部])
積み上げと最終選考のテスト。指揮官は2試合で全員を起用
なでしこジャパンは、パリ五輪を2カ月後に控えたアウェイの2連戦でニュージーランドと対戦。初戦は2-0、第2戦は4-1で勝利し、2連勝で締めくくった。今回の2試合は、大会に向けたチーム戦術の積み上げとともに、メンバー18人の“最終選考の場”でもあった。 会場はスペイン南部のムルシア。現地の気温は連日30度を超え、夜は10時ごろまで空が明るい。今回のマッチメイクには、7月のパリと同じような環境で中2日の連戦をシミュレーションする意図もあったようだ。ただし、スペインはグループステージ初戦の相手で、情報戦も考慮する必要がある。練習場は中心地からは離れたリゾート地で、試合前の練習は非公開となった。 なでしこジャパンは、4月に行われたアメリカでのシービリーブスカップではブラジル、アメリカ相手に2連敗。特にアメリカ戦は守備に回る時間が多かった。ボランチの長野風花は、「ほぼ相手ペースだったので、もっと自分たちの時間をつくってコンビネーションでゴールに向かうシーンを増やしたいと強く感じました」と危機感を口にした。 グループステージ第2戦で対戦するブラジルも難敵だ。結果は1-1(PKで負け)だったが、マンツーマンで強度の高いプレッシャーをかけてくる上に、1対1も強かった。新監督の下で「ボールを保持しながら流動的に攻撃するスタイル」に舵を切り、日本は昨年から1勝2敗と負け越している。 今回のニュージーランド戦は、その2試合の課題を踏まえて臨んだ。海外組13名を含む22名が招集され、池田太監督は2試合で全員を起用しつつ、守備面で新たなチャレンジも示した。