【更年期、羽田美智子さんの場合/インタビュー前編】閉経から3年たって骨量に変化が。骨粗しょう症の不安を感じています
俳優としてのキャリアも円熟期の50代半ば。映画にドラマに舞台に、と魅力を放ち続ける羽田美智子さん。彼女もまさに今、更年期を通過中です。思わず「かわいい」と言いたくなるようなはじける笑顔やポジティブな発言の裏側にあった不調とは? これまであまり語られてこなかった閉経前後のお話も必読だ。
羽田美智子さん(55歳・俳優)
《MY更年期STORY》 ■30代後半:慢性疲労症候群を経験 ■43歳:妊娠5カ月で流産 ■51歳:閉経 ■54歳:くしゃみをして肋骨にひびが入る。その後、五十肩も経験 ■54歳:髪の毛が抜けやすく、白髪も増えたことに気づく ■55歳(現在):無理をしないで体調管理
私は更年期不調がないタイプ、なんて幻想だった!
「更年期というと、ホットフラッシュや睡眠障害、イライラ、倦怠感、焦燥感など、特有の症状があるイメージですよね。私の場合はずっとそういうものがなかったので、そんなタイプなんだな、目立った不調がなくてラッキー、と思っていたんです、つい最近までは」 確かに、更年期の不調に悩まされているという印象はまるでなかった羽田さん。健康に気を遣い、日々を丁寧に、元気いっぱいに暮らしていそうな印象だ。 「閉経の仕方もスパッとしていて、ある日突然、はい終わりました、みたいな感じでした。50歳頃に、生理の期間が短くなっていたので、そろそろ閉経だろうな、と。いつも7日間くらい出血があったのが5日間になり、3日か4日で終わっちゃった、というのが続いて。ある日を境にパタッとこなくなって、それっきりです。51歳で閉経したと思います。生理がくる? こない? なんて月経周期が乱れる期間もなく、楽でしたね。おまけに閉経前後に不調を感じたこともなくて、よかった!なんて思っていたら…」 閉経前後の5年、合計10年が更年期といわれる。羽田さんが初めて「更年期の症状」を自覚したのは閉経から3年たった54歳のときだった。 「昨年、きました、ついに。舞台本番の当日に、右腕が上がらなくなった。うわぁー、まいったなと思って整形外科に行ったら、典型的な五十肩だと。その場は注射を打ってもらって腕は上がるようになったんですけど。 その後、整形外科に通い出して『骨量を調べましょう』と言われて検査してもらったら、骨の量が少ないとわかったんです。実はその前に、インフルエンザで寝込んだとき、くしゃみをした拍子に肋骨にひびが入ったこともあって。それがいわゆる更年期の症状だと。 女性ホルモンが急に減ったことによって、骨の量が保てなくなっていると病院で教えてもらったんです」 骨は、肌や髪の毛と同じように新陳代謝を繰り返している。それをサポートして、骨量や骨密度を保つのは女性ホルモンの役目。更年期に女性ホルモンである「エストロゲン」が減ると、骨を壊す働きのほうが盛んになり、骨をつくる働きが追いつかなくなっていく。これが進行し、骨がスカスカになるのが骨粗しょう症といわれる状態だ。 「骨のためにも、普段から食生活には気をつけていたんですけれど、それ以上に骨の壊れていくスピードが速すぎるんだな~と。 更年期は40代後半にくるイメージがあって、そこを乗り越えたから、私はもうなんともないのだろうと思っていたのに、こんな症状の現れ方があるんだ、と身にしみて感じているところです。いわゆる体が変わっていく時期、老年期に向かっているときなんだな、と。体が老いる準備段階なんですよね。 自分だけは変わらないと思っていたけど、やっぱり人並みに体は変わるんだということを体験して、『きちんと向き合っていかなきゃいけない』と50代半ばにして感じています」 ちなみに骨密度の検査は53歳の頃にも実施していて、そのときは正常。平均値と比べて90%くらいで、上出来と言われていた。それが54歳で一気に下がり、たった1年で69%になっていたのだ。 「医師からは、骨粗しょう症の治療を始めていい頃かもしれません、と言われました。でも、薬による治療はなるべくしたくなかったので、今はビタミンDと亜鉛のサプリメントを飲んでいます。それまではサプリも飲んでいなかったんですが、さすがに食事だけではだめかなと思って。何の手も借りないで、自力で生きていくのにも限界がありますものね。 うちは母も骨折で入院したことがあるので、骨密度が低くなりがちな家系なのかもしれません。遺伝もあると聞いていますし」