2024年大学10大ニュース 年内入試の拡大、私大定員割れ
大学入試も大学教育も、大学を取り巻く環境も、受験生の保護者世代の頃とは大きく変わっています。大学進学を考えるウェブメディア「朝日新聞Thinkキャンパス」の中村正史・総合監修者が、2024年の大学に関する10大ニュースを選びました。 【写真】年内入試の拡大、私大の定員割れ… 保護者世代とは大きく変化(1~5位)
1.東洋大学が基礎学力テスト型年内入試を導入
「年内入試」と呼ばれる総合型選抜や学校推薦型選抜で大学に合格、入学する受験生が増え、今や入学者の半数を超えています。2025年度入試で大きな注目を集めたのが、東洋大学が基礎学力テスト型の公募制推薦(学校推薦型選抜)を導入し、12月1日の試験で約2万人の志願者を集めたことです。試験は英語・国語または英語・数学の2教科で、他大学と併願もできます。 基礎学力テスト型の公募制推薦は、関西では20年ほど前に近畿大学や龍谷大学が導入し、京都産業大学や甲南大学、摂南大学、追手門学院大学などに広がりました。25年度の公募制推薦では、近畿大学が約5万4000人、龍谷大学は約3万3000人の志願者を集めるなど、すでに定着しています。 首都圏では、桜美林大学が24年度の総合型選抜で基礎学力テストと面接などで判定する方式を導入していますが、東洋大学のような大規模大学が導入するのは初めてです。東洋大学の新方式導入を受けて、25年度入試で大東文化大学が国語・英語の2教科での公募制推薦を実施したのをはじめ、関東学院大学、共立女子大学、創価大学などが総合型選抜で基礎学力方式を導入しました。今後の導入を検討している大学も少なくありません。 基礎学力テスト型の年内入試に対しては、高校現場などから「受験生の青田買い」「学校推薦の意味がない」という批判が出ており、今回の東洋大学の導入に対して文部科学省は「ルール違反」と指摘しています。しかし、中堅以下の大学では学生確保のために、基礎学力に欠ける受験生でも合格させている実態があり、東洋大学が「こうした風潮に一石を投じたい」と口火を切り、多くの志願者を集めたことで、首都圏でも基礎学力テスト型の年内入試が拡大するのは避けられないでしょう。