日米で問われる球宴ファン投票の意義。ダルとイチローは出場できるのか
大リーグのオールスターゲームは7月12日(日本時間13日)、フロリダ・マーリンズの本拠地であるマーリンズパークで開催される。ファン投票は29日午後11時59分(日本時間30日午後12時59分)に締め切られた。出場選手は7月2日午後7時(日本時間3日午前8時)から米有線スポーツ局ESPNで放送される番組内で発表される予定だ。ロースター枠は各リーグ34(+最終投票枠1)。ファン投票でナ・リーグは8人、ア・リーグは指名打者の分だけ多く9人選ばれ、監督推薦、選手投票(監督、コーチ含む)によりナ・リーグは26人、ア・リーグは25人の“リザーブ”が選ばれる。 ファン投票はなかなかシビアで、今年の場合、新人で三冠王を獲る勢いのアーロン・ジャッジ(ヤンキース)のような選手は別格だが、成績を残してもある程度、名前が伴わないと票にはつながらない。26日の最終中間発表によると、.330で打率2位につけ、17本塁打でリーグ10位タイのコーリー・ディッカーソン(レイズ)は、ア・リーグの指名打者部門において、打点以外の数字では負けていないネルソン・クルーズ(マリナーズ)にリードを許したままだ。 打率.296、21本塁打のジャスィン・スモーク(ブルージェズ)一塁手も、打率.305、9本塁打ながら、昨季のオールスターゲームでMVPを獲得したエリック・ホズマー(ロイヤルズ)の知名度には勝てない。ディッカーソンもスモークも控えで出場できそうだが、1位になるとしたらもう少し長く、安定して結果を残す必要がある。 一方でファンの目は、結果を残さない限り、スター選手にも厳しい。過去7回オールスターに出場し、常連でもあったロビンソン・カノー(マリナーズ)は、打点52でリーグ7位隊だが、打率(.282)と本塁打(14)は、低迷。二塁手の部門で5位にも入っていない。過去2年、MVPの投票で4位、5位だったマニー・マッチャド(オリオールズ)も、今季は打率が.220と低迷。遊撃手部門ではやはり5位以内から漏れている。 今回のオールスターゲームはマイアミで行われるが、かといって、やはりある程度の数字を残さなければ、地元のスター選手とてファン投票では苦戦を強いられる。最終中間発表で上位にいるのはマーセル・オズナただ一人。マーリンズの顔といえばジャンカルロ・スタントンだが、ファン投票では6位にとどまっている。 21本塁打はリーグ3位、50打点は17位タイながら、打率.274は30位にも届かない。ファン投票での出場を逃しても監督推薦されるのでは、と見られているが、彼クラスでも、もう少し地元ファンのサポートがないと、無条件にというわけにはいかないようだ。 マイアミはイチローにとっても地元だが、もちろん特別待遇はない。昨年は6月終わりの段階で.342という高い打率をマークしており、「イチローをオールスターに」という声もあった。仮に今年、同じような数字を残していれば地元開催が追い風となり、監督推薦で、という可能性はあったが、今のところ話題にも上らない。 ところで、日本のオールスターゲームに、選ばれた時点で8試合にしか出場していない大谷翔平(日本ハム)が選ばれ、様々な議論があるよう。 大リーグのファン投票に関しても過去、是非が問われたケースが少なくない。1957年、ファン投票によってレッズの選手が7人も選ばれた。半分は疑問符が付く選択。原因の一つとされるのが地元新聞社の働きかけで、すでにレッズの選手に印をつけた投票用紙を新聞と一緒に配達し、投票を促したとされる。このときはフォード・フリックコミッショナーが介入し、ハンク・アーロンやウィリー・メイズをスタメン出場させ、さらにファン投票を翌年から廃止するという手段を講じている。 1970年にファン投票が復活したが、その後も似たようなことが繰り返され、最近でも2012年にはジャイアンツの選手に大量得票があり、2015年には、一部のファンが制限を超えてロイヤルズの選手に投票をした疑いが出て、大リーグ機構は、6000万から6500万という票を無効とした。 その都度、ファン投票を廃止するかどうか、どう改革すべきか議論となるわけだが、決定打がないという点では、日本もアメリカも変わらないのかもしれない。