「どんな患者さんでも、血液型も関係なく入れられる」A・B・O・AB型を問わない『人工血液』の開発に成功 一体どんなもの?奈良県立医科大
「血液が届かない」離島が抱える実情
鹿児島本土から約370km離れた場所に位置する奄美大島。6万人近い島民が生活するこの島で今、起きている問題が「輸血用の血液が届かない」ことです。 奄美大島にある県立大島病院の麻酔科医・大木浩さんは、輸血で使う血液の管理を日々行っています。病院の保冷庫には日本赤十字社から購入している輸血用の血液がそれぞれ保管されています。 (県立大島病院 麻酔科部長・大木浩医師)「A型の定数は8本なんですけど実際には使ってしまったので、今在庫としては6本入っています。これが尽きちゃったときに、じゃあどうしたらいいのかということですよね」
元々、奄美大島には血液を備蓄する拠点があり、輸血の際には30分ほどで大島病院に届けられていました。ところが、2018年に備蓄拠点が撤退。その結果… (県立大島病院 大木浩医師)「今は鹿児島県赤十字血液センターから航空機を使って運んでこないといけない。輸血製剤が手元に届くまでに平均10時間もかかっていたら、とてもじゃないけど助かる命も助からなくなってしまいます」
島民から採血した血液を輸血「我々は自分の命は自分で守るしかない」
そんな時、目の前の患者を助けるために島で行われているのが「生血輸血(なまけつゆけつ)」です。島民から採血した血液を輸血に使うというものです。生血が必要になると島民が病院に集められ、その場で採血を実施。採血された血液は感染症がないかの検査や放射線照射をして安全な血液に変えた後、手術で使われます。 生血が必要になったとき、病院からの要請を受けて島民を招集するのは地元消防の仕事です。 (名瀬消防署 泊智仁署長)「リストは名瀬地区のA型、名瀬地区のO型、笠利のA型…と分けてあります。リストをもとに範囲を決めて、それぞれ(署員)が空いている電話で電話しまくるっていうのが実情です。(生血の発令頻度は)年間2~3件前後です。いろんな観光客が来られ、交通事故や海の事故は増えていますので」 実際に生血に協力したことがあるという署員に話を聞きました。 (名瀬消防署の署員)「供血(血の提供)は2回ほどあります。夜中でも『あす仕事なんだけど…』と言いながら行きます。何か役に立てたということが自分的にはうれしいなという思いがあります」 「島でできることは島でやる」。助け合いの精神は島民の意識に当たり前に沁みついています。 生血で助けられたという患者はこう話します。 (大島病院の患者)「私は3回目の手術のときに、すごく出血が多くて生きるか死ぬかの状態のときに、大木先生が生血輸血をされたりして今があるんですよ」 (患者の家族)「手術が終わってから、先生方からたくさんの生血を投与したと聞きまして、そのときに改めて、ここの島は『血液が常時提供できるような状況にないな』と」