ドローンで潜水艦監視、防衛装備庁が磁気計測実験へ
防衛装備庁は飛行ロボット(ドローン)を活用して上空から潜水艦を監視するための磁気計測実験を2025年度に始める。対潜哨戒機「P―1」などより低高度を飛ぶドローンの利点を生かし、海中に潜む潜水艦の磁気を測定。潜水艦探知技術や、自国の潜水艦が哨戒機に探知されにくい手段の開発につなげる。海上自衛隊は哨戒機パイロットなどの人員不足に悩んでおり、実証実験を通じて見えてきた技術が解決につながる可能性もありそうだ。 実証実験にはプロドローン(名古屋市天白区)の「PD6B―Type3」を使用する予定。可搬重量が20キログラムある大型機種で、大型の磁気センサーを吊り下げた状態でも機体動揺が少ない。機体動揺が激しいと、ドローンのわずかな飛行動作で潜水艦を見失ってしまう可能性があり、「安定性の高い機種を選んだ」(装備庁)。 ドローンは海面すれすれを飛行可能なため海中の潜水艦との距離が近く、探知しやすい。対潜哨戒機だと高速で飛行するため潜水艦を探知できても一瞬であり、次の時点では自身も潜水艦から離れてしまうため、「場所を特定するのに時間がかかる」(同)。その点、ドローンは同じ場所に長く留まっていられる滞空性があり、探知精度を向上できる。 一方で、磁気センサーが付近を航行する民間船舶や漁船を潜水艦と一緒に探知してしまう懸念がある。そこで、これを防ぐための処理技術も併せて開発する。 さらに、ドローンは海面すれすれを飛べ、滞空性もあるが航続距離が短く、監視できる海域は限られるため、哨戒機で広く浅く探索し、状況に応じてドローンを現場付近に飛ばすなどの組み合わせ運用法も研究する。