ジャーナリズムをどこまで守ることができるのか? 世界最大級の SSP が考える、健全なエコシステム構築に必要なこと
MFAを完全に排除するための3つのポイント
DD:MFAに関して、いま米国ではどのようなことが話題になっていますか? ジェシカ:現場でよく議論されるのは、「これからのジャーナリズムを我々はどこまで守れるか」という課題です。MFAリスクを突きつけられているパブリッシャーの危機意識は高く、かなり理解は進んでいるので、SSPである我々もさまざまな方法でこの課題に対応しています。 次に話題にあがるのは、「広告費がどう流通するか」というお金の回り方について。本来、プレミアムパブリッシャーに届くべき広告費がMFAに流れることがないよう、バイヤーのみなさんにも細心の注意を払っていただく必要があります。加えて、「パブリッシャーが手を組むSSPについての理解」を深めていただきつつ、「パブリッシャー同士が足並みをそろえて対応すること」も重要だと話しています。 DD:MFAを完全に排除するために何をすべきでしょうか? ジェシカ:MFAを排除するためには、主に3つのポイントがあると考えています。まずひとつ目は、SSPが広告取引の場からMFAを排除し、購入できない状況を作り上げること。そのため当社ではテクノロジーを駆使しつつ、人の目でもしっかりモニタリングすることで、MFAフリーな環境を作っています。そして2つ目は、バイヤーがブロックドメインリストからパブリッシャーリストへきちんと移行すること。 最後の3つ目は、デジタル広告に関わるパブリッシャー、SSP、DSP、エージェンシーがパートナーシップを構築し、互いに力を合わせてこの問題に取り組むことです。そうすることでMFAのない、より良いエコシステムに変えていけるのではないかと期待しています。 DD:安全性を考えると、Index Exchangeも取り扱うPMP(プライベート・マーケット・プレイス)が理想的な環境なのではないかと思いますが、日本での需要はいかがでしょうか? 星:現状の需要は高いとは言えません。PMPを利用すると、単価が高くなるのでROAS(ロアス)が見合わないと考えられているからです。PMPであれば安全で効率的にプログラマティック広告を運用できることを、我々エージェンシーが合理的に説明していけば、クライアントのみなさんも納得して投資していただけるようになることを期待します。 プログラマティックには効率優先のイメージがあります。しかし、単純なコスト効率を優先する広告指標だけでなく、議論のうえでアテンション率や理解率などを加味したKPIを設定できれば、効率とクオリティを担保する、真に質の高い広告を実現できるのではないでしょうか。そのことが業界全体の健全性につながるのだと示すことも、広告業界のリーディングカンパニーである我々の役割だと考えています。