声優・三輪勝恵さんが逝去 死因の「肺塞栓症」になりやすい人の特徴や予防法を医師が解説
肺塞栓症の診断と治療
編集部: 肺塞栓症はどのような検査で診断されますか? 甲斐沼先生: 肺塞栓症の検査では、胸部のレントゲン撮影・心電図・血圧測定などが行われます。さらに、血液検査を行い、血中酸素濃度が低下していないかどうかも確認します。 肺塞栓症が疑われるが、確定診断が難しい場合には、肺血管や下肢静脈などをCTスキャンで確認することも必要です。 編集部: 治療方法を教えてください。 甲斐沼先生: 肺塞栓症の治療方法は重症度によっても変わりますが、通常は血液を固まりにくくするヘパリンという薬を使用します。また、ウロキナーゼなどの薬を使用してできてしまった血栓を溶かす治療も行われます。足などにまだ血栓が残っていた場合に再び症状が出てしまうのを防ぐために、安静にして過ごすのが基本です。 重症の場合には、外科的手術によって血栓を直接取り除く処置を行います。さらに、まだ血栓が残っていて肺動脈が閉塞する危険がある場合には、下大静脈にフィルターを留置して肺に血栓が飛散するのを防ぐ処置が行われることもあります。 編集部: 治療期間はどのくらいかかりますか? 甲斐沼先生: 肺塞栓症の治療では、抗凝固薬の使用を約3カ月継続する必要があるとされています。そのため、治療期間は長期に及ぶと考えられるでしょう。 危険因子を持っている方の場合には、さらに長期の治療が必要となります。抗凝固薬は点滴で投与されますが、長期にわたって治療を行う際には飲み薬に切り替えられます。 編集部: 入院が必要なのですね……。 甲斐沼先生: 肺塞栓症は突然の呼吸困難や胸の痛み、重症の場合には心停止が起こりうるような危険を伴う病気です。そのため、通常は入院による治療が必要となります。 入院期間は重症度や再発のリスクなどによって異なりますが、肺塞栓症だと疑われる症状が出た場合には必ず入院して検査や治療が行われると思っておきましょう。