<リオ五輪>400mリレーで日本に銀メダルをもたらした改良型バトンパス
陸上の男子400mリレーの決勝が19日(日本時間20日)現地の五輪スタジアムで行われ、山縣亮太(24、セイコー)、飯塚翔太(25、ミズノ)、桐生祥秀(20、東洋大)、ケンブリッジ飛鳥(23、ドーム)の4人で挑んだ日本チームは銀メダルを獲得した。五輪トラック競技における日本人の銀メダルは、アムステルダム五輪の800mで獲得していた人見絹枝さん以来、88年ぶり。 最強の布陣で臨んだ日本の勝因は世界一と言われるバトンパスの技術だ。 日本は、バトンを受ける走者の手のひらが下を向いている時に、下から上にバトンを手渡す「アンダーハンド・バトンパス」を2001年から採用した。9秒台が一人もいない日本が、世界とのタイム差を縮めるにはバトンパスの時間を短縮するしか手がなかった。アンダーハンド・バトンパスには、タイミングを合わせる呼吸と高い技術が必要だが、日本は代表チームでトレーニングを重ね、北京五輪では、塚原直貴、末続慎吾、高平慎士、朝原宣治の4人で銅メダルを獲得した。 アンダーハンド・バトンパスを採用する国は増えなかったが、日本の躍進で世界各国がバトンパス技術に目を向けるようになったが、2014年のアジア大会では、オーバーハンド・バトンパスを採用している中国に敗れた。壁にぶつかった日本は、さらなる改良に取り組んだ。渡し手も、受け手も、これまでより少し手を伸ばす形に改良したのである。 「距離がつまらずスペースが生まれるので、走力の差がなければ、受ける側も腕がふりやすくなって加速度が増す。利得距離も作れます。元々、アンダーバトンパスは、手を上げて取らないので、フォームがぶれず、トップスピードに安定して入れるのが利点ですからね。オーバーバトンパスの利点とアンダーバトンパスの両方の利点を取ったような形。ただ一人ひとりに走力がないとマイナスになります。コーチや選手がディスカッションしながら考えだしたのでしょう」とは、ロス五輪100m代表の不破弘樹さんの解説だ。