「臭い車に当たりやすくなった」:ネット配車サービスの課題
【東方新報】最近、とあるインフルエンサーがネットで配信した動画で、ネット配車サービスの車内の異臭について不満を語った。「臭い車に当たったんだけど、窓を開けると寒いし、閉めると臭い。頭皮の脂の臭い+レザーの臭い+ガソリン臭+暖房の匂いが混ざって、頭がくらくら。酔った状態になったよ」と語るこの動画には約5000件のコメントが寄せられ、多くの人が似たような体験を共有している。2024年12月23日の夜には「ますます臭い車に当たりやすくなった」という話題がSNSにトレンド入りした。 ネット配車サービスの車内の異臭に関する不満は、今回が初めてではない。過去2年間、「この寒い時期にタクシーに乗ると、まるで運転手の布団に潜り込んだみたい」といった意見が話題を呼び、今年も同様の問題が注目されている。「ますます臭い車に当たりやすくなった」という声からは、問題の深刻化と乗客の不快な体験が増加していることがうかがえる。こうした状況は乗車体験の悪化にとどまらず、乗客の健康への悪影響やサービス全体のイメージ低下にもつながる。 市場の活況に伴い、ネット配車サービスを利用する乗客や個人の車で参入するドライバーが増加している。しかし、一部のドライバーは車内の空気品質を軽視しており、快適な環境提供が不十分だ。「臭い車」の主な原因は、冬季に窓を開けて換気しづらい環境と、ドライバーの車内環境への無頓着さにある。 ネット配車サービスは準公共交通機関といえ、日々さまざまな乗客が利用するため、車内環境の管理が重要である。個人の衛生管理が不十分であったり、ガソリン臭やタバコの煙が充満していたりすると、乗客はストレスを感じるだけでなく、健康被害や利用意欲の低下につながる。これにより、サービス全体の信用にも悪影響を与える可能性がある。 今回、関連する話題がトレンド入りし、プラットフォーム側が問題を認識したことは、乗客とプラットフォームの建設的な相互作用の一例といえる。プラットフォーム側は批判を受けて謝罪し、「臭い車」への対策を進めると表明している。具体的には、異臭車両のブラックリスト機能の導入、車内空気に関する評価が低いドライバーへの研修実施、評価制度を通じたインセンティブの提供などの取り組みを挙げている。このような姿勢は評価に値するものの、その効果は今後の経過観察が必要だ。 しかし、「臭い車」問題の解決には、プラットフォームの対応だけでは不十分である。ネット配車サービスに特化した車内空気品質や衛生基準の整備が必要だ。2022年の調査では、利用者の95.4パーセントが車内の空気環境を気にしており、約3分の1が「非常に関心がある」と回答しているにもかかわらず、具体的な基準がいまだに整備されていない現状が課題である。 中国ではすでに2011年に「車内空気品質評価ガイドライン」が制定され、化学物質濃度の基準が定められているが、人為的な異臭への対応は不十分である。また、2016年の「軽自動車汚染物排出限界基準」で車内空気品質が環境指標に含まれたものの、ネット配車サービス業界では十分に適用されていない。 こうした背景を踏まえ、ネット配車サービス特有の問題に対応した基準の策定が急務である。これにより、ドライバーは衛生意識を向上させ、プラットフォームは管理を強化できる。また、乗客や世論による監視体制の構築も可能になるだろう。加えて、ドライバーが個人衛生と車内環境に配慮し、乗客の意見を重視する文化を定着させることが必要である。これを実現するためには、明確な評価・指導体制の確立が欠かせない。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。