握力アップは上腕と前腕のアイソメトリックスが効く!【40歳から始める! 健康寿命を延ばす「手力・足力」!⑩】
握力が低下したり、手に痛みが生じると、生活のさまざまなシーンで不便が生じる。それがやがて生活の質を下げ、健康寿命の短縮につながることも。そうならないために、手に優しく握力アップができる方法を、看護師で英国ITEC認定リフレクソロジスト・アロマセラピストの市野さおりさんに教えてもらった。
腕全体をバランスよく鍛えることが握力アップの秘訣
握力アップのために手先だけを鍛えようとすると、逆効果になることがある。手はただでさえ日頃から使いすぎている。 まずは1日1回、ストレッチなどで手指や手首の柔軟性を養ったり、温めて血流を高めるなどのケアでしっかり休ませることが大切だ。 ※指のストレッチは第7回<手の疲れには「指ストレッチ」と「手湯たんぽ」が効く>参照。 ※手首のストレッチは第9回<「手首回し」と「タオル握り」で手に負担なく握力アップ> 参照。 「そのうえで加えたいのは、上腕と前腕のアイソメトリックス(等尺性筋収縮)です。アイソメトリックスとは関節を曲げたり伸ばしたりせず、ある姿勢を一定時間保つことで筋肉に負荷をかける静的な筋肉トレーニング方法です。 例えば、腕相撲で互いの力が拮抗して腕が止まっている状態は、筋肉の長さが変わらずに力を入れていることになります。この状態を意識的に作り出すのです。 体幹を鍛える「プランク」※がそのひとつ。 アイソメトリックスは関節への負担が少なく、短時間でエネルギーをあまり使わずに簡単に筋肉を鍛えることができるのが大きなメリットです。特に、握力をアップさせるには、手先の筋トレではなく、上腕と前腕をこのアイソメトリックスで鍛えるのがおすすめです。 手の筋肉は前腕→上腕へとつながっているので、腕全体を鍛えることが結果的に手力を高めることにつながります」(市野さおりさん) ※プランクはうつ伏せの状態で前腕とひじ、つま先を地面について、背中からお尻、脚を真っすぐにキープするエクササイズ。
背もたれを利用して簡単上腕トレーニング
「上腕を椅子の背もたれに押しつけて静止し、パッと力を抜くエクササイズです。背もたれに押し当てる抵抗を利用し、上腕の筋肉に負荷をかけます。 このとき血流が抑えられ、その後に力を抜くことで一気に血流がアップするので、筋力アップに加え、血管を強くする効果もあります。 丸めたタオルをふたつ、左右の手に持って行うことで、腕全体がバランスよく鍛えられ、握力アップにも効果的です」