72種類の拷問 10万人が“行方不明” シリア「絶滅収容所」の生存者を独自取材 証言から浮かび上がった残虐な拷問の実態【news23】
拷問によって死亡した仲間を運ぶ役割もさせられました。 ナジャフさん 「仲間の遺体を運ぶとき、遺体は大きく変形しているから、この人物が私の親戚の一人か、友人の一人かということを考えなくてはいけない」 なかでも壮絶だったのが、椅子を使った拷問でした。 ナジャフさん 「拷問で亡くなった人たちの多くは、ドイツの椅子と呼ばれている拷問によって亡くなった。他にも頭を殴打したり首を折ったり。取調官が首を折るんです。この拷問は音はせず、椅子の下にいる誰かが窒息して、足が地面にぶつかる音だけが聞こえた」 人権団体が集めた証言によると、シリアの極秘刑務所で行われた拷問は、分かっているだけで実に72種類あったといいます。 ■10万人“行方不明” 「絶滅収容所」の実態 報告書 「拘束された多くの人は目がえぐりとられていた」 「皮膚を焼いたあとに、野蛮な方法でその皮を剥がされた」 「針やネジなどを鼻や唇、耳、背中、手や足の裏などいたるところに刺された」 今回解放されたセイドナヤ刑務所。愛する家族や友人の姿を探す多くの人が集まりましたが、行方不明となっている10万人の市民のほとんどは、命を落としている可能性が高いとされています。 ナジャフさんのように生還できたのは、奇跡に近いのです。 多くのシリア難民が集うトルコ南部の町に住む老夫婦は、東部の町デリゾールで息子のオクバさんが逮捕されました。 息子が逮捕 アリさん 「(オクバは)仕事に行く途中に捕まったんだ。突然いなくなった。捜したけれど見つからなかった。警察なのか軍なのか。拘束されることはよくあるから、すぐに帰ってくると思っていた」 両親は、息子がいつか必ず帰ってくると待ち続けましたが、その時は訪れませんでした。オクバさんの幼い娘も、父が帰ってこない理由をどこかで理解しているのだといいます。 息子が逮捕 ヤスミーンさん 「パパがいなくて嫌だから、穴を掘ってぬいぐるみを埋めたの。『パパが刑務所から出てきたら掘り出して遊ぶの』『ぬいぐるみが掘り出されないということは、パパは死んだということなの』と言っているわ」