72種類の拷問 10万人が“行方不明” シリア「絶滅収容所」の生存者を独自取材 証言から浮かび上がった残虐な拷問の実態【news23】
藤森祥平キャスター: この時代に、ナチスの強制収容所のような現実が広がっているわけですね。 トラウデン直美さん: 言葉がないんですけれども、なぜここまで増長してしまったのかがやはり一番大きな点だと思いますし、止められないものなのか、なぜ繰り返してしまうのかと感じます。 国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤 伸輔さん: 国連のグテーレス事務総長が、シリアの状況を「この世の地獄だ」と表現したことがありましたが、今の映像見てるとまさしく地獄だと思わざるを得ない。しかもそれは、自然にできたものではなくて、アサド政権を中心とした人間が作った地獄というところに改めて非常にショックを覚えます。 小川彩佳キャスター: なぜアサド政権は、ここまでの残虐性を出してしまったのでしょうか? 23ジャーナリスト 須賀川 拓さん: やはり多くの方が疑問に残ると思います。「なぜ周りが止められないのか?」これには、いろいろな背景が複雑に絡み合ってると思いますが、あくまでも可能性論として、いくつか挙げられるものがあると思います。 まず、このアサド政権は、自分の敵を全て弾圧してきたわけですが、彼はイスラム教の少数派の「アラウィー派」だったことが関係しています。自らが少数派で権力を持っているということは、「自分が弾圧される側に回るかもしれない」という強迫観念っていうのは常にあったのではないかと私は思ってます。 あと、このバッシャール・アサド大統領は、元々ロンドンで眼科医をされていました。政治とは全く無縁な生活を送っていましたが家族の事情で、本国に戻されました。しかし、父親も残忍な独裁者であったので、自分が最初に触れて、全てを学ぶ人が独裁者。しかも極めて残忍な人だったというのが大きなポイントではないかと思っています。 トラウデン直美さん: それを聞いてさらに、元々ロンドンで生活していて外の世界を知っていたわけなのに、どうしてあそこまで残虐に慣れてしまい、このようなことになってしまったのでしょうか。