72種類の拷問 10万人が“行方不明” シリア「絶滅収容所」の生存者を独自取材 証言から浮かび上がった残虐な拷問の実態【news23】
両親は「遺体でもいいから返還してほしい」と政府に求めましたが返答はなく、アサド政権が崩壊したいま、息子が奇跡的に生きているのか、埋葬されているのかも分かりません。 住んでいる街を明かさない条件で、取材に応じてくれたヌーラさんも幼い子供とともに拘束されました。 子どもと拘束 ヌーラさん 「私が検問所で拘束されたとき、息子は3歳でした。『鞄の中を出せ、なんだこれは、コーヒーを飲むのか』と聞かれました。何も悪いことはしていないのに。『誰から頼まれた、武装勢力に持っていくのか』と言われました」 ヌーラさんは自宅用に買ったコーヒーを、武装勢力に渡そうとした疑いで、突然拘束されたのです。 子どもと拘束 ヌーラさん 「椅子に身体を打ち付けられ、後ろで手を縛られて何度も平手打ちをされました。あまりに痛くて叫び、涙が出てきました。そして部屋に戻されました。息子が私の姿を見て泣くのです」 ――何をされた? ヌーラさん 「言えません。ムスリムの女性に対する罵倒です」 気丈に、笑顔で答えるヌーラさん。しかし、性的暴行を受けた心は、深く傷ついていました。 解放されたあと、ヌーラさんは行方不明だった弟を探すため、人権団体に接触。そこで見たシーザー・ファイルの一つの写真にくぎ付けになりました。 ヌーラさん 「前歯は虫歯があり欠けていたのと目を見て分かりました。特徴的な歯でしたので間違いなく弟の顔です」 家族が拘束され、拷問の果てに変わり果てた姿で、遺体すらも戻ってこない。これがアサド政権下での、シリア国民の日常となっていました。 人道支援団体「SSJ」山田一竹 代表 「全ての破壊行為の責任を負うアサド元大統領が、訴追されて裁かれない限り、被害者やサバイバー、遺族の方たちの痛みや苦しみ・怒りというのは、消えません。なので、そういった意味でも正義の追求というのは、今後シリアでは最も重要な課題になると思います」 ■処刑・拷問 アサド政権なぜ弾圧? 小川彩佳キャスター: かくも人は残忍になれるのか、という見ていて息が詰まるような実態の数々でした。