ハリス米大統領候補の指名受諾演説:自身の出自・経歴と重ねて物価押し下げ、中間層支援、人権問題への対応をアピール:ハリス政権成立は日本経済・企業にはプラスか
ハリス政権は日本経済、企業には追い風
こうした点を踏まえると、米国経済や企業にとっては、トランプ政権の誕生よりもハリス政権誕生の方が、環境はずっと良いことになるだろう。また、米国に進出する日本企業にとっても同様ではないか。 バイデン政権の政策を基本的に継承するハリス政権のもとでは、日本にとっての経済、金融環境は大きく変わらない。他方、米国では現在緩やかにインフレ率は低下しており、この流れはトランプ政権の追加関税やドル安政策によって大きく妨げられる可能性がある一方、価格引き下げを志向するハリス政権のもとではむしろ後押しされるだろう。 そのもとで米連邦準備制度理事会(FRB)は緩やかに政策金利を引き下げ、それが緩やかなドル安円高をもたらすことが期待される。緩やかな円高は物価高懸念を緩和させ、低迷する日本の個人消費に追い風となるだろう。 トランプ政権が誕生すれば、米国経済の悪化と大幅ドル安のリスクが高まり、日本では急速な円高が株安を伴い日本経済に甚大な悪影響を与える可能性があるが、ハリス政権の下で緩やかな円高が進むことは、日本経済、企業にとってはベストシナリオなのではないか。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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