〝短時間正社員〟の求人、じわじわ増加 企業と働き手のニーズが合致 主婦層も希望「カバーしきれてない」
1日8時間を週5日ではなく、もっと短い時間でも「正社員」として働けたら――。子育てや介護など、ケアワーカーが働き方の選択肢に入れたい、「時短正社員」。人材系企業の調査でも、企業側がその雇用に前向きになっている傾向がうかがえます。短時間正社員の求人を始めた法人に聞くと、優秀な人材の確保のためには、柔軟な働き方の提示が不可欠だという事情が見えてきました。(withnews編集部・金澤ひかり) 【マンガ】女は『捨てる生き方』をしてきたからね…夫の物捨てる妻へ祖母が一言
短時間正社員の求人、2倍になったところも
短い時間の労働でも、パートタイムやアルバイトなどの非正規ではなく、正社員と同等の給与体系や福利厚生制度のもとで働く「短時間正社員」(時短正社員)の求人がじわじわと増えています。 人材紹介サービスの「スマートキャリアAGENT」(ビースタイル運営)によると、2024年1月から6月の短時間正社員の求人数が前年の同期間に比べて2.19倍に増えているそうです。 パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」がとりまとめた、8月の短時間正社員の求人数は、前年同月比で1.3倍になっているといいます。 doda編集長の桜井貴史さんは、「確かに短時間正社員の募集は増えていますが、短時間勤務のみの募集が増えているというよりも、一般求人の中に『短時間でも相談可能』という件数が増えている感じです」と話します。 「短時間正社員の活用は政府でも推進しており、これから伸びていく採用方法だと見込んでいます」と桜井さんは言います。
「働き続けたい」「ワークライフバランス」
桜井さんによると、現在の伸びの理由には、働き手のニーズと企業側のニーズの合致があるといいます。 「まず、働き手については、出産・育児などライフスタイルの変化があっても、働き続けたいというニーズの高まりがあります。その際に短時間正社員として働くメリットとしては、家庭環境が落ち着いたあとにフルタイムに戻る将来を展望しやすく、キャリアを断絶せずに働き続けられることがあります。さらに、働く上での制度が整っているという安心感もあるでしょう」 桜井さんは、働き手には「ワークライフバランス」を整えたいというニーズもあると指摘します。 「若い世代を中心に、残業時間をなくし、プライベートな時間を確保しながら生活をしたいというニーズがあります。さらに副業をしたいというニーズの高まりもあり、『時短正社員プラス副業』という組み合わせも少しずつ増えている実感があります」 企業側が短時間正社員の求人を増やす理由は、なんといっても人材不足の打開策としての「採用競争力の強化」。特に専門職や優秀な人材は短時間でもパフォーマンスを発揮できると見込み、そのスキルを自社で生かしてほしいという思惑がのぞくといいます。 さらに、社内へのブランディングとしても有効で、短時間正社員の採用をすることで「多様な働き方に向き合っている」「社員を大事にしている」というメッセージを社員に伝え、関係の維持につながるといいます。