〝短時間正社員〟の求人、じわじわ増加 企業と働き手のニーズが合致 主婦層も希望「カバーしきれてない」
仕事の割り振り見直し、働きやすく
一方、短時間正社員となると、フルタイムで仕事をする人との業務バランスや内容の違いが気になります。 中嶋さんの会社では、ひとりひとりの裁量権が大きい業務内容で、取引先企業ごとにメインの担当がつき、その企業にかかる業務は基本的にはメインの担当者が請け負っていたそうです。 ただ、これまで通りの業務で時短勤務の社員が担当になった場合、時間外の対応ではフルタイムの社員のカバーが恒常的に必要な状況が想定されました。 それを防ぐため、同社では業務の担当を大幅に変更し、企業ごとではなく内容ごとに担当をつけることにしたそうです。 例えば、給与計算の場合は夕方以降に再計算が必要になることも想定されるため、フルタイムの人が担当。一方で、社会保険の手続き業務など、日中に終えられるものは時短勤務の社員の担当としました。 「スケジュールに融通をきかせやすい仕事を、時短社員に担当してもらいます。そうすることで、フルタイムの人が通常業務にカバー業務が付加されるような状況にはならないようにしました」と話します。 現在、短時間で働いている社員について、中嶋さんは「短時間正社員として採用したというより、いまは子育てがあるので時短勤務をしてもらっているという考えです。環境が変わって希望があれば、ぜひフルタイムで働いてもらいたいと思っています」と話します。
就労ニーズに追いついていない
短時間正社員の求人が2倍を超えたという調査結果を発表した人材紹介サービス会社「ビースタイル」は、主婦層の働き方についての調査も「しゅふJOB総研」として実施しています。 その視点から、「『短時間正社員』は、就労志向の主婦層が最も希望する雇用形態ですが、実際に経験したことがある方はわずか13.3%に過ぎず、従来の短時間勤務制度だけでは、希望する全ての人をカバーしきれていない」(ビースタイル)とし、働く意欲をすくいきれていないていないと指摘しています。 また、しゅふJOB総研の研究顧問でワークスタイル研究家の川上敬太郎さんも「働き手側の短時間正社員ニーズは高い。上手く業務を切り分けられれば、職場の中に潜在的なポジションがたくさん埋まっていると言えるのではないでしょうか」と話します。 ◇ 【#令和の専業主婦】 専業主婦として家庭内のケア労働を精いっぱいしているのに劣等感があったり、「諦めた」なんていう気持ちにさせたりするのは誰なのか? そんな社会を変えていくためのヒントを探したい。どうすればいいか、一緒に考えてみませんか? みなさんの体験談、声を募集しています。 【募集フォームはこちら】https://forms.gle/3TheaW9cQxR7gamcA