週3日パートで働いています。会社から「この日に有給使うね」とシフトを組まれましたが、違法でしょうか?
有給休暇は、労働者の権利です。会社や雇用主が社員の有給休暇を勝手に決めても、違法にならないのでしょうか。本記事では、週3日勤務するパートタイム労働者を例に、労働基準法で規定されている、年次有給休暇を使うタイミングや付与される日数について解説します。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
有給休暇を雇用主が使っても違法にならない場合がある
社員が労働基準法で必要な日数を取得できていなければ、雇用主が社員の有休取得日を決められる場合があります。雇用主が有給休暇の日付を指定しても問題がない場合について、解説します。また、雇用主が有休取得をさせたい理由についても、詳しく見てみましょう。 ■年間10日の有休付与があれば5日は使用する必要がある 2019年4月に改正された労働基準法で、雇用主に、以下の内容が義務づけられました。 ・年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、年5日の年次有給休暇については、使用者(=雇用主)が時季を指定して取得させる 例えば、2023年4月1日に入社した社員が、6ヶ月経過した2023年10月1日に10日以上の有給休暇を付与された場合は、付与から1年後の2024年9月30日までに、5日間の有給休暇を取得する必要があります。正社員でなくても、年次有給休暇が10日以上付与されるパートタイム労働者に対しては、年5日の年次有給休暇を確実に取得させなければなりません。 ■有給休暇を取得しない社員がいると会社にもペナルティーがある 雇用主が有休を取得させたい理由は、社員が有休取得しない場合のペナルティーが大きいためです。年5日の有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法第120条によって、労働者1人の違反につき30万円以下の罰金が科されます。雇用主はペナルティーを避けるためにも、社員の有休取得を推進しているのです。 ■有給休暇は原則、労働者が取得する日を希望できる 労働基準法で規定されている「時季の指示」とは、雇用主が取得日を指示するという意味ではありません。雇用主は社員の意見を聴取して、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるように、意見を尊重する必要があります。 雇用主による年次有給休暇の「時季の指定」を実施する場合は、対象となる労働者の範囲および時季指定の方法などについて、就業規則に記載しなければなりません。会社側がシフトを作る際に、労働者の有給休暇を勝手に使おうとしたときは、就業規則を確認して、有休取得の予定を相談して希望を伝えましょう。