S&P500投信「本当のコスト」独自計算【今期最安はコレ】eMAXIS Slim、楽天・プラス、野村はじめてのNISA対決
eMAXIS Slim、楽天・プラスと並び、S&P500の激安インデックス投資信託で話題になったのが野村の「はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500)」信託報酬0.09372%だ。設定は23年7月10日。コストの安さに加え「名前がわかりやすい」と好意的な反応が目立つ。野村アセットマネジメントCXソリューション部部長の高田淳さんに追従引き下げの可能性を聞くと、「信託報酬率だけでなく、総経費率の観点でも高い競争力のある商品を提供していきたい」。楽天の0.077%との差は0.01672%と誤差範囲だ。当初の方針を守り引き下げた三菱UFJアセットは素敵だが、野村アセットが引き下げなくても不満な人は少なそう。 新NISA開始に伴い、インデックス投資信託は信託報酬の引き下げ競争を繰り広げてきた。その結果、信託報酬「以外」のコストが全体から見て無視できない水準に。信託報酬1%で、それ以外のコストが0.1%前後なら微々たるものだ。でも信託報酬が0.1%で、それ以外のコストも0.1%なら微々たるものとはいえないわけで。 信託報酬以外のコストは運用報告書に出ている。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500)」「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」の運用報告書から、コストに関する数字を抜き出し表にした。直近で実際にいくらかかったか、「本当のコスト」がわかるようにまとめてある。 「総経費率(直近、実際にかかった信託報酬+その他の運用コスト)」から見ていこう。決算日数がそれぞれ異なるため、公平に年率換算している。 ■楽天・プラス最安 eMAXIS Slim 米国株式が0.10180%。はじめてのNISA・米国株式が年率換算0.1708%。楽天・プラス・S&P500が同0.0873%で、今期最安となった。総経費率とは別に組み入れ資産の売買手数料と税金も発生する。これらを足しても楽天・プラス・S&P500が最安。 ただ、安ければいいというわけではない。見た目の信託報酬が安くてもリターンが低い投資信託がある。かといってリターンが高ければいいものでもない。そもそもインデックス投資信託は「指数(この場合はS&P500)といかに同じ動きをするか」も大事だからだ。設定2年目を迎えた野村や楽天の運用の「質」を注視したいところ。