親父、たくさん遺してくれてありがとう…〈年金月24万円・退職金2,000万円〉分相応の老後を送る67歳長男だったが、90歳・我が子を想う父の死で一転、破滅へ。元凶となった「遺言状の中身」【FPの助言】
故人の意向を記す「遺言状」。親から子へ遺された場合、我が子を想って遺した財産の継ぎ先が書かれているでしょう。しかし、なかにはもらわなければよかったと後悔する相続財産もあって……。本記事では、鎌田さん(仮名)の事例とともに、相続における注意点についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
90歳父の死…思いがけない相続
鎌田遼平さん(仮名/67歳)は妻と2人で早期リタイア生活を送っています。長年勤務した会社を60歳で定年退職し、それまで積み上げた資産1,000万円に加え、退職金2,000万円を受け取り、当初は年金も繰り上げをして月額24万円を受け取りながら生活していました。 5年ほど前、鎌田さんが62歳になったころに遼平さんの父の貞夫さん(仮名/90歳)がこの世を去りました。高齢にも関わらず畑仕事をしたり、自分で食事の準備をしたりするなど亡くなる直前まで元気でいたものの、ある日の明け方に急性心筋梗塞を発症。苦しむ父親からの緊急連絡を受け、鎌田さんはすぐに救急車を呼びましたが、病院でそのまま息を引き取ったのです。 父が遺した遺言状 姉の博美さん(仮名)と父の葬儀を終えて一息ついたあと、父が遺言を遺していたことがわかります。父の財産は、現預金2,000万円ほどと、保有していたアパートの5棟でした。父は不動産の分割は難しいと考えたのか、姉の博美さんには現預金全額、アパート5棟は鎌田さんに相続させると遺言に記してあったのでした。 こうして父の不動産を引き継ぐことになった鎌田さん。不動産投資の知識はほとんどありませんでしたが、満室時で毎月300万円程度の家賃収入がある不動産を相続することになり、有頂天になります。 「親父は本当にいいものを遺してくれた。俺たちのために、こんなにたくさん遺してくれてありがとう」そう父に心から感謝します。 思わぬ収入源を手にしたことで鎌田さんの生活水準は上がり、外食の回数が増え、旅行にも頻繁に行けるようになり、お金の心配をせずに楽しく過ごせる老後を手にすることができました。