メガサプライヤー時代(上) 自動車メーカーは部品を組み立てているだけ?
独ボッシュとデンソーがビッグ2
もちろんサプライヤーもそれをビッグビジネスに結び付けて行く、例えば前述のコンチネンタルは、ブレーキやシャシー制御システムの開発を行う時、傘下のコンチネンタルタイヤを基準に設計する。だから完成したクルマには全車当然の様にコンチネンタルのタイヤが装着される。 タイヤを売り込むために競合社と価格競争する必要も、営業が手練手管を尽くす必要もない。開発の請負いイコールタイヤが売れるに直結する。2000年代に入ってからOEMタイヤのシェアでコンチネンタルが気を吐いている理由はそこにある。タイヤ業界のビッグ3であるミシュラン、グッドイヤー、ブリヂストンはほぞを噛む想いでいるだろうが、同じ戦い方はしたくてもできない。 さて、こうしたメガサプライヤーはいくつくらいあるのだろうか? 自動車メーカーと違って、なかなか名前が出て来ないからわかりにくいかもしれないが、それでもトップの数社は誰でも聞いたことがあるはずだ。 ナンバー1はドイツのボッシュだ。ナンバー2は日本のデンソー。この2社が他を引き離してビッグ2を形成している。少し離れてドイツのコンチネンタルとシェフラー、アメリカのデルファイとビステオンがある。デルファイは元GMの一部門、ビステオンは元フォードの一部門だ。これにカナダのマグナ・インターナショナルを加えたあたりがメガサプライヤーと言えるラインだ。 国内で、メガサプライヤーとまではいかないが、ある程度システム的な展開が出来るサプライヤーは、富士通テン、日立オートモーティブ、ケイヒン、ミクニあたりだろう。
「垂直統合」と「水平分業」
モノづくりにおいて「日本は垂直統合型で他国は水平分業型」ということはよく言われてきた。日本だけが特殊であるような言い方には問題があると思うが、実際にそういう例はいくらでも挙げられる。自動車メーカーで言えば、日本はメーカーを頂点にサプライヤーが下請けとしてピラミッドを構成して、縦軸の中で製品が作られる。 対して、クルマに関して言えば欧州では、サプライヤーが様々な汎用製品を作り、メーカーは製品企画を行ってサプライヤーの製品を組み合わせて商品化する。場合によってはその組み立てすら外注化してしまう。これは工場を持たない方式で「ファブレス化」と言われる。クルマの場合は例が少ないが、ファブレス化の世界で一番有名な例は米国アップル社のiPhoneだろう。