「東京大学医科学研究所らが11月に発表」コロナの新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか この冬の対策とワクチン追加接種について医師が解説
症状が4週間以内に消失した人でも知能指数(IQ)が3点程度低下し、3カ月以上続いた場合では6点も下がっていた。集中治療室に入った場合の低下は9点だ。 『ニューイングランド医学誌』編集部は2月29日号で、「ロングCOVIDと認知機能障害については、もっとエビデンスと研究が必要だ」という見解を掲載し、この問題の重要性を強調した。 長期感染については4月18日、アメリカ科学振興協会(AAAS)が発行する科学ニュースリリース配信プラットフォーム「EurekAlert!」に、613日間、感染が継続した72才の免疫不全の男性のケースが紹介された。
7月3日にはまた、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、感染から約2年が経過したコロナ後遺症患者の腸から複製可能(生きていることを意味する)なコロナウイルスRNAを検出したと報告した。 ■円形脱毛症などの合併症も発生 コロナは単純な風邪とは違う。たとえウイルスが消えても、免疫異常は長期にわたって続く。このような状態は、さまざまな合併症を引き起こす。 3月5日、マサチューセッツ工科大学と韓国の京畿大学校を中心とした研究チームは、日本と韓国の約2200万人のデータを分析し、コロナ感染者は非感染者と比べて、ある自己免疫性疾患の発症リスクが、1.25倍増加すると『アメリカ内科学会誌』で報告した。リスクは、感染が重症で長期化するほど上がるという。
1月には韓国の全北大学校医科大学の研究チームが、コロナ感染者は円形脱毛症のリスクが1.82倍高まるとの報告を『アメリカ医師会誌(JAMA)皮膚科版』で発表した。円形脱毛症は典型的な免疫疾患だ。コロナ感染に伴って増えてもおかしくない。 話をコロナ後遺症に戻そう。 長期感染が関係しているのなら、治療薬が有効かもしれない。この問題についても、いくつかの研究が発表されている。 1月4日、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、『臨床ウイルス学雑誌』に発表したコロナ感染者4684人を対象とした研究によれば、治療薬パキロビッドを服用した988人と服用しなかった3696人を比較したところ、後遺症の発症率は16%と14%で大差なかった。