「東京大学医科学研究所らが11月に発表」コロナの新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか この冬の対策とワクチン追加接種について医師が解説
同様の研究成果は、スタンフォード大学を中心とした研究チームからも報告されている。治療薬で後遺症を予防することは難しそうだ。 ワクチンはどうだろうか。こちらは有望そうだ。これまでの研究で、後遺症のリスクを大幅に下げることがわかっている。 前述したセントルイス退役軍人研究教育財団らの研究チームが行った研究では、ワクチンを打っていない人と比べて、デルタ株では44%、オミクロン株では55%後遺症の発症を減らしていた。
1月11日、オックスフォード大学が『ランセット呼吸器内科版』に発表した研究でも、イギリス、スペイン、エストニアの約2000万人のデータを解析したところ、ワクチン接種により後遺症の発症頻度が30~50%程度減少していたことがわかった。 ■ワクチンの追加接種は必要か? では、何回、ワクチンを打てばいいのか。 11月24日、中国人民解放軍空軍医療センターの研究チームが、コロナに罹患した透析患者115人を対象とした研究を『国際泌尿器腎臓病学雑誌』に発表。それによれば、60人(52.2%)が後遺症を発症していたが、そのリスクは3回以上のワクチン接種で90%低減していた。
多くの日本人は3回以上、コロナワクチンを接種しているが、今冬、追加接種を受けるべきか。この問題について、今はまだ明確なエビデンスを提供できない。参考になるのは2月10日、イギリスのエジンバラ大学を中心とした研究チームが『ランセット』誌に報告したものだ。 彼らはイギリスのワクチン接種データベースに登録された約6820万人のデータを用いて、ワクチン接種回数と重症化の関係を調べた。 その結果、4回以上は約3880万人(57%)、3回以下は約2940万人(43%)だったが、4回以上と比べて、3回以下は重症化するリスクが高かった。特に75歳以上の高齢者でその傾向が強く、4回以上と比べて未接種で3.1倍、3回接種で2.7倍高かった。