「東京大学医科学研究所らが11月に発表」コロナの新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか この冬の対策とワクチン追加接種について医師が解説
これは流行当初の10.4%、デルタ株の9.5%よりは低い。だが、アメリカでは全成人の7%、全小児の1%がコロナ後遺症を患っているという。XEC株もオミクロン株の亜種だ。多くの感染者が後遺症に苦しむ可能性は捨てきれない。 世界では、コロナ後遺症に関する議論が盛り上がっている。7月24日、『ニューイングランド医学誌』は「ロングCOVID(コロナ後遺症)を定義する」という論文を掲載した。 この論文では、「コロナ感染から3カ月以上にわたって息切れや咳、疲労感、記憶障害、頭痛、集中力の低下、めまい、頻脈、睡眠障害、味覚・嗅覚障害、便秘・下痢などが表れる場合をコロナ後遺症」と定義した。
コロナ後遺症は、軽症や無症状感染でも起こることがあり、発症は感染後すぐの場合もあれば、数週間から数カ月後に顕在化することもある。症状は軽症から重度までさまざまだが、再発・寛解を繰り返す人が多い。 筆者の外来にも、コロナ後遺症を患っている患者さんが大勢来ている。80代の女性はコロナ感染後に咳や痰、息切れ、全身倦怠感が続き、そのまま寝たきりとなり、1年ほど後に亡くなった。亡くならないまでも、体調不良が続く人は珍しくない。
一方で、コロナ後遺症の問題については、この1年間で、随分と理解が深まってきている。 コロナは、普通の風邪のように短期間で体内から排除されず、長期感染することがある。これが後遺症と関係すると見られているのだ。 2月21日、オックスフォード大学を中心とした研究チームが『ネイチャー』誌に発表した論文によれば、3603人の感染者のうち、381人(10.6%)に1カ月以上経っても発症時と同じ量のコロナウイルスが確認され、そのうち54人(1.5%)は2カ月以上後にもウイルスが確認されていた。
コロナが1カ月以上陽性だった人の後遺症発症率は、1カ月以内に陰性化した人と比べて、55%高かった。すべての後遺症がそうだとはいえないが、長期感染がコロナ後遺症の発症に寄与している可能性が高い。 ■後遺症で認知機能低下の恐れも 筆者がもっとも驚いたのは、後遺症の認知機能への影響だ。 インペリアルカレッジ・ロンドンを中心とした研究チームが、2月29日に『ニューイングランド医学誌』に発表した研究によれば、コロナ感染で認知機能が低下するケースが認められている。