サントリーホールディングス(1)2年に1回全従業員に健康面談 創業時から「人こそが経営の重要な基盤」という考え
【わが社の「健康経営」】 健康上の不安や悩みを抱えたときに誰に相談すればいいのか。仕事などのストレスや不安は、職場の上司や同僚に相談する人が多い(厚労省2023年「労働安全衛生調査」)。だが、体の調子が悪いときはどうか。職場の産業医や看護職は頼りになるが、「なじみがないので相談しにくい」という声も。そんな悩みを払拭する策が、サントリーホールディングスの健康経営にあった。 【漏れなくサポート】 サントリーグループは2016年に「健康経営宣言」を行い、「従業員と家族の健康が同社の挑戦・革新の源であり、心身ともに健康でやる気に満ちて働いている状態を目指す」ことを打ち出した。 「『人を育てるのも原酒と一緒。最初は思ったように育たないものもしばらくすると素晴らしい酒になっている』という二代目社長の佐治敬三の言葉にあるように、サントリーは創業時から『人こそが経営の重要な基盤』という考えを持ち、人本主義を貫いてきました」と、同社グループ健康推進センター池田美紀部長は話す。 「人が大事 その基盤は健康」と考え、看護職や産業医、メンタル専門医、臨床心理士、外部のオンラインサービスによる医師への健康相談などの環境を整えたという。 「夜間勤務や交替勤務の従業員もいます。誰もが働く時間に合わせて面談予約をとりやすくするため、外部の相談窓口も活用しています」(池田部長) 一般的に相談窓口を設置しても、相談を躊躇(ちゅうちょ)してしまう人もいる。「初対面で話しづらい」「離席をすることで同僚に知られるのはイヤ」など理由はさまざまだ。そこで、同社が行っているのが従業員全員の健康面談である。 「以前は、診断結果に課題がある人だけに看護職が面談をしていました。ですが、評判がよくなかったのです。そこで、奇数年齢の人、偶数年齢の人にわけて、2年に1回、全員に健康面談を行っています」(池田部長) 健康上に問題があるときだけの看護職の面談は、良くないことをいわれることを想起し、面談に対して消極的な人がいたという。しかし、全員の健康面談なら行かざるを得ない。日頃から気になっている健康上の悩みも相談できる絶好の機会となる。