なぜ三木谷会長“涙の続投表明”の効果もなく神戸はまた勝てなかったのか?
明治安田生命J1リーグ第15節の8試合が25日に行われ、最下位にあえぐヴィッセル神戸がホームのノエビアスタジアム神戸でジュビロ磐田と対戦。キャプテンのMFアンドレス・イニエスタ(38)を中心に内容で圧倒しながらも決定力を欠いて0-0で引き分けた。湘南ベルマーレに敗れた前節後に辞任を示唆するも、その後に涙ながらに続投を表明し、一致団結を訴えた三木谷浩史会長(57)が観戦した一戦だったが、今シーズン2勝目を手にすることはできなかった。
16本のシュートを放ちながらスコアレスドロー
連敗を「2」で止めた。しかし、今シーズン2勝目は遠かった。磐田の4倍となる16本ものシュートを放ちながらもゴールを奪えず、スコアレスドローに終わった試合直後。神戸のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が声を絞り出した。 「試合を支配できたと思うし、ペナルティーエリアにも到達して起点も数多く作れた。しかし、ゴール前での運というものが今日は足りなかった」 指揮官の述懐通りに、試合内容では磐田を圧倒し続けた。しかし、枠をとらえたシュートはことごとく、磐田の守護神・三浦龍輝のスーパーセーブに遭った。 前半27分にイニエスタのフリーキックから、DF菊池流帆が放ったヘディング弾をまず防がれた。同39分には自陣中央から発動させたロングカウンターから、ゴール中央へ飛び込んだMF井上潮音が放った決定的なシュートも左手一本で止められた。 後半9分にはMF汰木康也が、イニエスタとパス交換を繰り返しながらペナルティーエリア内へ侵入。左足から強烈な一撃を放つも、三浦の牙城は崩せなかった。 アディショナルタイムに突入する直前には、途中出場のFWリンコンが放ったシュートが、ブロックに飛び込んだDF松本昌也に当たってわずかにコースを変える。それでも三浦は体勢を崩しながら、とっさに伸ばした左足で弾き返した。 J1通算100試合出場を達成したイニエスタも、何度も魔法をかけた。 例えば後半14分。敵陣中央から右前方へ鮮やかなスルーパスを通したが、FW武藤嘉紀のファーストタッチが内側に流れ、シュートは枠をとらえられなかった。 4分後の同18分にも再び右サイドへ絶妙のパスを一閃。武藤が丁寧に中へ折り返し、飛び込んできたリンコンが押し込むだけという状況が生まれた。しかし、DF山本義道の必死のマークがプレッシャーとなったのか。シュートはバーを大きく超えた。 勝利を目指して戦った選手たちを、ロティーナ監督はねぎらうしかなかった。 「選手たちはすべてを出し切った。咎めるものは何もない。それでも、チャンスを作ってもゴールを決めなければ勝てない。そこが今日は残念だった」 キックオフ直前。ロッカールームから出てくる、イニエスタをはじめとする先発メンバーを、ベンチ入りできなかったメンバーだけでなく、すべてのスタッフが一列になってハイタッチで送り出した。その最後に三木谷会長が待っていた。