「今は、結婚する気がない」という恋人の言葉に期待してはいけない理由
「yuzukaさんにピッタリだと思いますよ」 担当編集者の方からそうすすめられたのが今回の書籍、『愚恋に説法』である。説法というだけあって、現役のお坊さんである大愚元勝さんが書かれた本だ。 普段は約70万人もの登録者を誇るYouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で人々の悩みに向き合う彼が、今回の書籍ではテーマを恋愛、さらにその中でも「愚かな恋」に絞って説法を繰り広げるというのだから、興味深い。 私はと言えば、この書籍でいう「愚恋」を繰り返した結果で、人生紆余曲折。結果本を出し、人様の恋愛に茶々を入れるような仕事に就く現在がある。現実問題、私の読者層には未だ「メンヘラちゃん」が多く、「愚恋」に関する相談は絶えないわけで、愚恋に敷かれたレールの上で、いまだ愚恋と向き合っている私とこの本は、確かにテーマで言えば「ピッタリ」なのかもしれない。 実際に書籍をパラパラと開いてみると、どうやらこの本は「愚かな恋」に関する質問に、Q&A形式で答えていくような作りになっているようだ。目次をひらけば「出会い」から「失恋」、あるいは「性」の悩みまで、それはもう幅広い分野の悩みが書き連ねられている。
お坊さんは恋愛をどう説くのか?
目次を読んでいくうちに、確かにこれは「愚かな恋」に関する本だ、と、実感する。というのも、多岐にわたる質問内容からは、読むだけでもその「愚かさ」がジリジリと伝わってくるからだ。 「メッセージも食事もダルい!マッチングアプリで恋を探すことに疲れました」なんていう、私が回答すれば一行で終了しそうな、ある意味で「愚か」なお悩みから、「結婚できないまま子どもを持てない年齢になりました」という答えに詰まりそうな深い「愚かさ」を感じるお悩みまで、その愚恋の形はさまざまである。 そんな数々の愚かな恋の悩みに対して、現役のお坊さんとやらは一体どのように寄り添い、喝を入れるのだろう。 目次を読むと、ますます興味が湧いてきた。 だってお坊さんですよ。私達とは送ってきた人生も経験も、「深さ」が違いそうじゃないですか。なんとなく普通の恋愛本以上に、「答え」があるような気がするのは、私だけではないはず。私が「しょうもない!」と切り捨てるような質問にでも、きっと彼なら、彼にしか出せないような答えを提示してくれるのではないか。 愚かな悩み(とりわけ恋愛に関するもの)を抱える人間の心を軽くするには、とにかくいろんなパターンの答えを提示するしかない。数ある答えの中で、自分に出せなかったような納得できる答えを見つけた時、彼女達の中で絡まってこんがらがっていた糸が、嘘みたいにすっと解けて、生きやすくなることがあるのだ。 恋愛本は世の中に溢れるほど存在するが、お坊さんが恋愛に向き合って説法してくれるような本は、何冊あるだろうか。その要素を加味するだけでも、誰かの心を軽くするような「答え」が詰まっていそうではある。