高校投手のドラフト最注目右腕、今朝丸裕喜の将来像は? 高校時点では才木、山崎より上 将来性とフォームのスムーズさは特筆に値
ただ2人の高校時代を比べると、才木の方が腕の振りは目立っていたが、全体的なバランスや下半身の使い方などは今朝丸の方が安定しているように見える。フォームを見た印象では肘にかかる負担も当時の才木より今朝丸の方が小さく見え、そういう点では故障のリスクも少ないのではないだろうか。 もう一人イメージが重なる投手としては山崎颯一郎(オリックス)を挙げたい。山崎も敦賀気比時代は体が細く、プロ入り後に見違えるほど体格がたくましくなってボールのスピードも大幅にアップした。今年は怪我で不本意なシーズンに終わったが、昨年は中継ぎとして53試合に登板してチームの優勝にも大きく貢献している。 ただ山崎の高校時代と比べて今朝丸が上回っているように見えるのがフォームの流れのスムーズさだ。高校時代の山崎はどうしてもギクシャクした動きがあり、下半身と上半身が上手く連動していないように見えた。そういった点が今朝丸にはなく、上手く上半身の力を抜いて柔らかく腕を振れるというのが大きな長所である。 才木、山崎と2人の名前を挙げたが、順調にいけばこのレベルの投手になれる可能性は高く、高校時代の比較から考えると彼らを上回っていることは間違いない。比較対象として出した2人の成功例を見ても、プロ入り後に重要なのはやはりフィジカル面の強化ではないだろうか。先日、今朝丸を指導してきた報徳学園の大角健二監督、磯野剛徳部長に話を聞く機会もあったが、コツコツ取り組める姿勢を持っていると話しており、その点も期待できるのではないだろうか。数年後、同世代はもちろん、2024年のドラフト同期の中でも突出した存在となっていることも十分に期待できそうだ。 文●西尾典文 【著者プロフィール】 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。