世界に羽ばたく空手女子高生 福岡で磨いた高速パンチが武器 胸に秘めるのは人気バスケ漫画の名ゼリフ
フルコンタクト系空手の一つ「世界組手連盟(WKO)」が11月に大阪市で行った国際大会で、福岡・小倉商高3年の森みいな(18)が頂点に立った。148センチ、48キロの小柄な体から繰り出す高速パンチが武器。驚異のスタミナと勝利への飽くなき執念の源泉には、あの人気漫画の有名な言葉がある。(山崎清文) ■対人の打ち込み稽古をする森みいな【写真】 WKOが開催した「WKO空手ワールドカップ(W杯)」には日本を含む21カ国、158選手が参戦。女子軽中量級(53キロ未満)に出場した森は決勝で、国内外の大会で豊富な実績を誇る富野真麻(23)と対戦した。 序盤は相手の圧力に押されたが、延長に入ると「スタミナには自信があった」。バスケットボールを題材にした人気漫画「スラムダンク」に登場する名ぜりふ「諦めたらそこで試合終了だよ」を胸に、手数とスピードで富野を圧倒。3度の延長の末、判定で難敵を退けた森は「試合が終わった瞬間、全身の力が抜けた」と笑顔を輝かせた。 北九州市出身の森は5歳の時、兄の影響で同市の成心会福岡支部で空手を始めた。小学1年生の時から福岡県内の大会で次々に優勝。高校1、2年時にWKO空手W杯出場を懸けた「ファイティングオープントーナメント全日本空手道選手権大会」で連覇した。 強みは指導者から「マシンガンのよう」と評される、体重移動と腰の回転の切れを生かした高速パンチ。2021年の東京五輪で行った空手は寸止めだが、WKOは相手に直接打撃を当てるフルコンタクトだ。打ち合いで痛い思いをしても「勝つたびに得られる達成感がある」と森。母の知恵さん(43)は「絶対に練習をサボらなかった」と振り返る。 次の目標は来年5月に東京で開幕する「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会」。WKO以外の流派も参加し、女子軽量級(50キロ未満)に臨む。森は「(優勝した)W杯より厳しい大会になると思うが、悔いのないように闘いたい」と、無欲に拳を打ち込むつもりだ。
西日本新聞社