「個人的な想いは捨ててきた」とトヨタの勝田貴元。ラリージャパン最終日で、タイトル防衛のための葛藤を明かす
11月24日(日)に大会最終日を迎えた『フォーラムエイト・ラリージャパン2024』。 午前中1本目のSS(スペシャルステージ)17『額田1』でオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)がクラッシュしたことで、暫定獲得ポイント数が大きく動き、マニュファクチャラー選手権を競うTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)とヒョンデ・シェル・モービスWRTが同点で並ぶことになった。 現在、日曜日の総合順位のみで競われるスーパーサンデーで6番手につける勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)と、TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表が、メディアゾーンにて残る2ステージへ向けた考えを話した。 これまで3ステージを終えたなかでは、走行後のインタビューで“戦略”を強調していた勝田。その想いとしては、「最終日ははじめから、パワーステージをどう走るのかというところを踏まえた作戦でした」と話す。 「これからチームと話すことになりますが、次のスタジアムステージを多少犠牲にしてでも、セットアップやタイヤ戦略をパワーステージに合わせていくことになりそうです」 「なので、プッシュするのかどうかはまだわかりません」と、冷静に語る。 WRCでは、マニュファクチャラーポイントを獲得できるのは、チームの上位2名となるため、勝田はつねにバックアップに回りながらこの週末を進めてきた。 そのなかで、彼の地元・愛知で開かれているラリージャパンを走るうえで攻めたい気持ちと、チームタイトルのためにポジションを守らねばならない気持ちがあるようで、その気持ちを言葉にした。 「今週末、僕自身はずっと我慢してきました。ただ、マニュファクチャラーポイントを手にすることができるのは上位2台なので、難しい話になります」 「これだけのファンが集まってくれているので、個人的にはプッシュして終わりたいのはもちろんです」 「それでも、この(マニュファクチャラー選手権の)チャンスを無駄にすることはできません」 「僕は今大会へ向けて、『個人的な想い』を捨ててくるところから始まっています。なので、チームのタイトル獲得へ向けた走りに集中したいですし、その仕事をファンの皆さんにも見せられたらなと思います」 『攻める姿を見せることはできないかもしれない』という想いを言葉にする勝田に対し、続いてメディアゾーンに現れたラトバラ代表は、「ヒョンデの2台は相当速かったから、かなり無理しないいけないだろう。幸い僕らには3台クルマがあるのだから、タカ(勝田貴元)には『Summer ride trip』をお願いしようと思うよ」とコメントした。 さらに勝田は、マニュファクチャラー争いの状況以外にも「今週末はセットアップを含めたタイヤの使い方や、出走順の影響もある」とコメントしており、マシンと路面の相性においても、満足なフィーリングはまだ得られていない様子だ。 そんななかでも勝田は、初日のスローパンクや2日目のハーフスピンにも耐えながら総合4番手をキープしている。彼のサポートも武器にして大逆転を成し遂げつつあるトヨタは、ラリージャパンのフィナーレでマニュファクチャラータイトル防衛の花束を受け取ることができるだろうか。そして勝田は最後のパワーステージを全開で駆け抜けることができるのか、最後の1本まで目が離せない。 [オートスポーツweb 2024年11月24日]