がんを再発した夫と、過労で倒れた妻。家族に幸せを運んだのは…。猫アレルギーの夫が言った「猫を飼いたい」から始まって
環境省が公開している「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、犬や猫の返還・譲渡率は年々増加しており、令和4年度には76%と最も高くなったそう。そのようななか、作家として活動するカリーナ・ヌンシュテッドさんとウルリカ・ノールベリさんは「猫がストレスや不安を軽減することは、研究で示されている」と話します。そこで今回は、お二人の著書『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』から、不思議な<にゃんこパワー>の秘密を一部ご紹介します。著者のカリーナさんが、そのパワーを感じたきっかけは―― 【書影】猫の不思議な力を解き明かす、にゃんこ本の決定版。カリーナ・ヌンシュテッド、ウルリカ・ノールベリ 翻訳:久山葉子『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』 * * * * * * * ◆猫への扉を閉ざして生きてきた もう20年近く猫を飼っていませんでした。猫アレルギーのある人を伴侶に選んだのだから、他にどうしようもありません。 だから心の扉――心地よいゴロゴロという音と安心感につながる扉――を閉ざして生きてきました。 反抗期だった10代には、母が飼っていた白と茶色の雑種ミッセンがいつも私を癒してくれました。 当時、新しい父親とはケンカばかり。だって母の話もろくに聞かないし、母が病気で大変だった時期にもサポートしないような男だったから。 彼は猫嫌いだったのに、ミッセンはそんなことおかまいなしに、茶色のマンチェスターソファでテレビを観る彼の膝にのっていました。 最初は追い払われていたけれど、そのうちに膝にのったままのどを鳴らすように。そんな時、新しい家族にようやく平和らしきものが広がったのです。ミッセンは私の長男ヴィルメルが誕生した数年後に亡くなり、それ以来私の心は空っぽでした。 それでも私には素晴らしい家族がいます。夫アンデシュ、そして2人の息子ヴィルメルとオスカル。 ただし夫が猫アレルギーだったので、猫を飼うという話は出ませんでした。夫は猫を2匹飼っている妹の家に遊びに行っただけで目がかゆくなり、くしゃみが出て、30分も滞在できないのですから。 毛のない猫を飼うことも考えたけれど、毛がないとなんとなくちがう気がして……。だから我慢して心の扉を閉めたのです。 ある時、ウルリカが自分のバーマン種のボーレを貸してくれました。アレルギーに優しい猫だから、と。 ふわふわの美しい猫に、うちの10代の息子たちまで甘い声を出したほど。どうかうまくいくよう祈ったものの、4、5時間もするとアンデシュの目から涙が流れ出しました。 そして扉はまた閉まったのです。
【関連記事】
- パソコンを広げると猫が邪魔を!「ネコハラ」急増の理由とは… 獣医師「子どもっぽいまま大人になった猫が増えた。特にオス猫に甘えん坊が」
- お腹がたぷたぷしている猫は「太り気味」?猫の肥満度は「あの箇所が触れるか」で分かる?獣医師「自己判断での極端なダイエットは絶対にやめて」
- 猫が高価なベッドより段ボールを好きな理由は?深夜の大運動会をやめさせるには?不可解だけど世界一かわいい愛猫の謎を獣医師が解説
- 2泊3日の旅行に行く際、愛猫は<ペットホテル><おうちで留守番><連れていく>獣医師のオススメは…「完全室内飼いで寂しがり屋さんが増えた」
- 保護犬を迎えて、余命半年の妻との生活に起きた変化とは?「近所を犬と一緒に夫婦で歩く時間はなによりも楽しかった」