「住宅ローン金利」が安いのはどこ?銀行別ランキング、5位はみずほ銀行、3位は住信SBIネット銀行、2位と1位は?
他方、団信も考慮すると、図5下のようにネット銀行がお得だ。住宅ローンに無料付帯している団信の価値を金利換算して、適用金利から差し引けば、実質的な金利コストを計算できる。 実質金利が安い順では、1位はauじぶん銀行(0.169%)。団信が非常に充実しているため、実質金利は0.1%台。住宅ローンで攻勢をかける同行はこのほど、三菱UFJフィナンシャル・グループとの資本関係解消を発表した。 2位のPayPay銀行も、金利キャンペーン中のため、非常にお得といえる。結局、住宅ローンは適用金利の安さのみならず、団信の充実度合いも比較してほしい。個人的には実質金利の安さで選ぶほうが理にかなっていると思う。
なお、ネット銀行は審査が厳しい側面もある。収入が不安定とみられることの多い自営業や法人役員は、ネット銀行以外の金融機関を選ぶことを補足しておく。 ほかにも注意すべき点がある。繰り上げ返済をしないと破綻と言われることもあるが、必ずしも正しいかどうかは疑問である。 ■なぜ日本の住宅ローンは貸倒率0.1%と優秀なのか 前述したとおり、金利が上がっても低金利の状態なら、借り続けることこそ最も経済合理性が高い選択肢となる。そのうえで浮いた資金を投資に回せばよい。長期の運用利回りは統計的に2~3%以上あることが多く、変動金利よりも高い点に注目したい。
それを表す示唆がある。トマ・ピケティ氏の名著『21世紀の資本』では「r(投資収益)>g(労働収益)」がうたわれている。 要するに、労働で得た対価は投資に回すことこそが、家計改善の肝ということ。繰り上げ返済してよい条件とは、資産運用の利回り以上に変動金利が高いケースのみである。投資の機会を奪いかねない住宅ローンの繰り上げ返済は、普通の勤め人が資産形成を断つ行為に近いと言えよう。 これまで日本の住宅ローンは、「借りたものは必ず返す」という勤勉な国民性と、終身雇用による長期安定収入という世界にもまれな環境によって、貸倒率がわずか約0.1%に抑えられている。それゆえに驚異的な低金利で貸し出される最強の金融商品だ。