ヤクルト・大西広樹の進化にコーチ陣も脱帽「すごい成長」 防御率0.93、オールスター初選出...
5月19日の阪神戦、チームの勝利はならなかったが、大西にとって象徴的な登板となった。大西は2点リードされた無死満塁の場面から火消しで登場。中野拓夢への初球を148キロのシュートで投手ゴロ併殺打。つづく森下翔太も打ち取り4球で大ピンチを脱出。そして、この日は3イニングの回またぎとなったが、28球無失点で切り抜けたのである。 【許した長打は2本のみ】 大西は「シュートはしっかりと投げられる確信がもてました」と、大きな武器を手に入れたが、代償もあったという。左打者に対しての被打率の高さがそうだ。 「2年目に一軍で33試合投げた時はツーシームを投げていて、左打者には下にこういう垂れ球だったので、引っかけての二塁ゴロが多く被打率は悪くなかったんです。それがシュートになると、レフト前に流されてもっていかれてしまう。でも、シュートへの意識づけはしたかったので、絶対に投げないといけない状況だったこともあります」 4年目にはシュートを生かすためのカットボール、スライダーに取り組んだ。そして「投げることで、シュートに奥行きができたらいいな」と、昨年オフは「抜け球というか、自分で勝手に名前をつけたんですけど、チェンジアップ気味のシンカー」を覚えた。結果、今年の対左打者の被打率は、昨年の.286から.234と大きく改善。 「ゴロが増えましたし、シュートにバッターがさされている感じがあるので、投げてよかったです。ただ右打者に対しても、インコースのシュートだけじゃ詰まってポテンヒットもあります。自分はゴロピッチャーだと思っていますが、やっぱり狙っていても打てない球を目標にしたい。そう考えると、大谷翔平さん(ドジャース)のスイーパーですね。ショートアームにして投げてみたところ、投げられるんじゃないかと。そういうことで、投げ方もいろいろ変わってきました」 ボールへの指のかけ方も、昨年オフに変えた。これまでの人差し指重視から中指にもしっかりかけて、両指で強く叩く練習に取り組んだ。その経緯について、大西が語る。 「大学時代はカットボールが得意で、その球を投げるには最後に人差し指でボールを押してちょっと変化させるのですが、その癖がついたというか......真っすぐを投げると、"真っスラ"気味に変化していたんです」