「ふるさと納税」でポイント付与禁止「楽天」「ふるなび」の闘い
「毎年毎年、総務省が机の上で考えたような規制が発せられるというのは、この取り組みの障害になっている」(阪上さん)。 泉佐野市のふるさと納税は、国のルール変更との知恵比べの歴史でもある。 2019年6月、総務省は「返礼品は寄付金額の3割以下」「地場産品に限る」というルールを導入。地場産品ではない返礼品やAmazonギフト券など過剰な特典を提供した泉佐野市は、総務省から「ふるさと納税の対象にならない」と告示され、制度から除外された。 しかし泉佐野市は、裁判で最高裁まで争い、勝訴。1年後には制度に復帰した。 「一番の課題は、泉佐野市には地場産品資源が多くないということ。新たな返礼品をつくっていかなくてはならない」(阪上さん)。 そこで阪上さんが始めたのが、「#ふるさと納税3.0」という進化版だ。 まずは新たな地場産品づくりに寄付してもらい、完成後に返礼品を受け取る仕組み。 第一弾は、熟成肉を生産する工場の立ち上げに寄付を募り、完成後、そこでつくった商品を返礼品として出すことにした。
11月上旬。阪上さんたち市役所の面々は、市内にある「新興タオル」の工場へ。この工場は、事業に寄付するふるさと納税で、約1億6000万円を調達。その資金で工場の一部を改装して物販スペースを用意、タオルの製造を眺めながらお茶ができるカフェを作った。 泉佐野市は、数少ない地場産品「泉州タオル」の強化も忘れていない。 阪上さんは「これから総務省がどういう風に変更を加えてこようが、泉佐野市は沈まない。信念を持ってやっていきたい」と話す。
県内ダントツの寄付金額!‟富士山の街”を支えるIT企業
総務省から告げられた「ポイント付与禁止」という新たなルール。このルールに強硬に反対したのが、ポイントでシェアを伸ばしてきた最大手「楽天」。撤回の署名運動は、すでに250万人を集め(10月31日現在)、今後も断固反対する姿勢だ。 10月下旬、山梨・富士吉田市で「楽天」が動いていた。市内にある「富士急ハイランド」で始まったのは、富士吉田にまつわるクイズ大会。ふるさと納税で寄付してくれた人と地元の人をつなぐイベントで、全問正解した人は羽毛布団がもらえる。通常、3万円寄付するともらえる返礼品だ。 羽毛布団は富士吉田市の人気返礼品の1つで、他にもシャインマスカット、富士山の湧き水で作る炭酸水やミネラルウォーターなどが人気。昨年度の寄付金額は88億円を超え、富士吉田市は、全国でも14位に入る自治体だ。