荒木飛羽、曽野舜太、藤本洸大が永井 三郎の名作で共演。演じる“人物”としたいこととは?
――閉鎖的な地域が舞台で、思春期、かつ同性を好きになるという新しい役どころへの挑戦だったと思いますが、どのようなアプローチをしましたか。 荒木 「原作では三島のいじめられているシーンが少しコミカルな表情だったので、それに寄せた方がいいのかなと考えました。どうしようか監督に相談をしたところ、『自分の思う三島を演じてもらって大丈夫!』というお言葉をいただいたので、しっかりと本を読んでベースを作りつつ、自分が作る三島を演じようと心に決め、役に挑みました」 曽野 「舞台となる土地がどのような感じか分からなかったのですが、よくよく考えたら自分が育った地域が自然にあふれていて、似たようなところなんです(笑)。当たり前すぎて気付かなかっただけで『それだ!』と思い、まず1段階目の役作りができました。次の段階として、桐野は心が女の子で、同性に好意を持つ男の子。僕自身が男の子に対してそういう感情を持ったことがなかったので、どうしようかと悩みました。でも、M!LKとしてアーティスト活動をしていて、メンバーのことがとても好きなので、もしかしてこの気持ちが似ているのかなって。“好きの延長線上、ただ人を愛する気持ち”と捉えたら、役作りすることができました」 藤本 「原作を読んでみて、夢野はすごくリアクションが大きいタイプだろうなと思いました。小さなことでも大げさに言ってくる人のような、あの感じかなと。なので、役作りとして、プライベートでも友達に対してリアクションを大きくしたり、ほぼ物がない自分の部屋をわざと乱雑にして生活したりしました。あとは夢野が着るような服装、ラフなタンクトップやワイルドな感じのシャツを着て過ごしてみました」
――皆さんのそれぞれの第一印象と、共演してみての感想をお聞かせください。 荒木 「大好きなオムライスを1週間作って過ごしたという話を曽野さんにしたら、『うんうん』と聞いてくださって、しっかりしていてカッコいい先輩だという印象を持ちました。現場で僕と洸大くんがふざけている時、曽野さんも乗っかってくださって、ノリもいいし頼れるし、最強な先輩だなと思っています! 洸大くんは、仲良くなったら絶対に楽しいだろうなというのが最初から伝わりました。入りのあいさつの時から内側からとても明るいものを感じていたので(笑)。現場で洸大くんとわちゃわちゃしたり、一緒にサッカーゲームをやったり、ずっと楽しかったです」 曽野 「初めてお二人とお会いしたのが本読みの時で、3人とも初対面だからか少し緊張感が漂っていました。飛羽はエクステを付けていて、ボブヘアーだったのもありかわいかったです。しかも、『オムライスが好きで、現場でもぜひ作りたいです』と言っていて、第一印象は完全に“かわいい”でした(笑)。でも、現場で飛羽とやりとりしていると、ガッツリとした少年らしさが見え、そのギャップにもひかれました。そして、洸大くんは想像通り(笑)。最初はかしこまっていましたが、それ以外はギャップがなく、常に真っすぐで裏表がない明るい太陽みたいな存在でした!」 藤本 「曽野さんはやっぱり王子様で、お会いしたら本当にキラキラしていて、内から出ているオーラがすごいなと。白い手袋をはめているようなイメージです(笑)。そして現場に入ってみたら、王子様から皇帝のような感じになりました(笑)」 曽野 「皇帝って、どういうこと?(爆笑)」 藤本 「なぜかと言うと、僕の役柄は曽野さん演じる桐野に逆らえないのです。この逆らえない感覚が残ってしまって。だから皇帝みたいだなと(笑)」 曽野 「そこなの?(笑)」 藤本 「でも、本当に優しくて、僕らのにぎやかなやりとりにもずっと突っ込んでくれたり、ボケてくれたり、うれしかったです」 荒木 「皇帝だもんね(笑)」 藤本 「飛羽くんは、クランクインする前に映画とドラマで画面越しに見ていて。お会いした時は会議室でサミットのような雰囲気だったので、とても緊張しました」 曽野 「サミット(笑)。カタカナ言葉が強いね」 荒木 「うん、ワードが強い(笑)」 藤本 「あはは。飛羽くんは憧れの存在なので、足を引っ張らないように僕も頑張ろうと思いました。実際に現場に入ると、少年らしさがあり、かわいいなと。最終的に、3人で楽しく過ごせて良かったです。まさか、こんなに仲良くなれるとは思っていなかったので。なので、本当に安心して夢野を演じることができました」