超効率的に学習する5つの秘訣。米国医師国家試験に上位1%以内で合格した医師が実践する勉強法
昨今、リスキリングやリカレント教育が注目され、いまやビジネスパーソンも勉強が当たり前の時代になりました。 とはいえ10代の頃と違って仕事や家事をこなしながら学ぶのは簡単なことではありません。 そこでより効率的に学習するための秘訣を、内科・感染症専門医として米国で活躍し、『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA)の著者である安川康介さんにうかがいました。
繰り返し読んでも効果は低い
──多くの人がやっている、テキストを繰り返し読む、マーカーで線を引くなど従来の勉強法はどれほど効果があるのでしょうか? ただ繰り返し読むことは、実はほかの勉強法と比べて効果が低いことが複数の研究で報告されています。 内容の記憶に関しては非常に短期的な効果はあるようですが、長期にわたって記憶には残りにくいのです。 またマーカーで線を引くというのも、勉強した気にはなりますがこれも効果は低いとわかっています。
「積極的に思い出す」ことの大きな効果
──では、ずばり最強の勉強法はなんでしょうか? 詳細は著書で解説していますが、1世紀以上にわたる調査研究からアクティブリコールが、記憶の定着が良いということがわかっています。 「リコール」は、「思い出す」の意味。つまり、1回学んだことを、積極的に思い出すことがとても効果的なのです。 具体的な例を挙げましょう。私は学生時代から、膨大な医学知識を覚えるためにアクティブリコールを活用してきました。分厚い医学書をただ通読するのではなく、1、2ページ読むたびに、そこに何が書いてあったか、白い紙にただ書き出していきます。つまり、ノーヒントでがんばって思い出していくのです。 このとき、ブツブツつぶやきながら、あたかも誰かに教えるように書き出すのが、効果を高めます。 書き出したりブツブツつぶやくのは、プロダクション効果といって、黙読した場合に比べて学習効率を高めることが知られています。一方、そのふりでもいいので、誰かに教えることで理解が深まるのは、プロテジェ効果といいます。 つまり、長期的に記憶を保つ意味では、アクティブリコール、プロダクション効果、プロテジェ効果の組み合わせがとても役立つのです。