超効率的に学習する5つの秘訣。米国医師国家試験に上位1%以内で合格した医師が実践する勉強法
記憶定着のためにも7時間の睡眠を確保する
──勉強法のほかに、学習効果を高める生活習慣はあるのでしょうか? いくつかありますが、おそらく一番大事なのは睡眠だと思います。 睡眠の間も、脳は休んでいるわけではなく活発に働いています。たとえば、コンソリデーションといって、覚えた内容を長期記憶として定着させるプロセスは睡眠中にも起きています。 記憶を定着させたければ、しっかり寝るようにしましょう。時間で言えば、7時間ぐらいが目安です。2021年のOECDの調査結果を見ると、日本人は調査国中もっとも睡眠時間が少ないです。ならすと7時間22分ですが、ビジネスパーソンに絞ればもっと短いでしょう。 睡眠不足であれば、まとまった7時間を睡眠にあてることをまず目指してください。また起床と就寝の時間を一定にするよう調節しましょう。毎日23時に寝て6時に起きるなど、自分なりのリズムをつくるということです。 くわえて、短時間の昼寝もいいのですが、職場で昼寝をするのは結構難しい人も多いはず。昼寝しなくてもいいぐらい、夜はしっかり眠る意識をもちましょう。 ちなみにアメリカ人の多くは、睡眠を非常に大事にしている印象があります。少なくとも、その重要性は認知されています。睡眠不足は、心臓病、肥満、糖尿病、うつ病などさまざま疾患に関わっていることが判明しており、健康管理の一環として睡眠を重視しているのです。
個人的なチューターとしてAIは活用できる
──ところで、最近登場したAIは、学習においてどのように活用できますか? 私もふだんChatGPTに質問しながら勉強することがあります。一般的な知識だったらかなり使えると思っています。しかし、専門性の高い知識だと、不正確なこともあるので注意が必要です。 たとえば、元素としての鉄を調べるときに、「なぜ鉄が元素の中で一番安定しているのですか」とか聞きながら、その回答を読んでいくのを繰り返します。個人的なチューターみたいな活用法です。わざわざ検索して自分で調べるよりも効率が良いと思います。 私は自分の子供によく教えるのですが、私でも知らないことがあればChatGPTを音声モードにして聞いてもらうことがあります。子供向けのAIチューターリングは、今後注目される分野になると思いますね。 AIの時代、人間は知識を覚え、学ぶ必要がなくなるとはまったく思いません。いつの時代でもAIを本当に上手く使える人間は、学んでいる人間だと思います。AIが発達した時代においても、「学び方を知る」ことは、すごく大きな強みであるはずです。 安川康介 2007年慶應義塾大学医学部卒。日本赤十字社医療センターにて初期研修後、渡米。米国ミネソタ大学医学部内科研修、テキサス州ベイラー医科大学感染症研修修了。米国内科専門医・米国感染症専門医。南フロリダ大学医学部助教。 効率的な勉強法を極め、高校時代の学業成績は1位。大学の医学部卒業時は8位。米国医師国家試験は上位1%以内で合格。 初の著書『科学的根拠に基づく最高の勉強法』はベストセラーに。YouTubeチャンネル「米国内科専門医 安川康介の医学チャンネル」を運営。
鈴木拓也