NISAとiDeCoは結局どちらを優先すべき? ファイナンシャルプランナーが出した結論は
今年12月から会社員の条件が緩和
iDeCoは会社勤めか自営業か、主婦(夫)かで掛け金の上限が異なることも大きな特徴だ。 会社員の場合、勤める会社に企業年金がない場合は年間27.6万円(月2.3万円)、確定拠出型の企業年金のみの場合は年間24万円(月2万円)、確定給付型の企業年金がある場合は年間14.4万円(月1.2万円)が上限となる。 主婦(夫)は27.6万円(月2.3万円)。自営業が最も上限額が大きく、年間81.6万円(月6.8万円)となっている。 「今年の12月からは確定給付型の企業年金のある企業に勤めている会社員も年間24万円(月2万円)に上限が引き上げられます。ただ、企業年金や厚生年金が充実していない人の方がより多くの金額を拠出できるという制度の趣旨に変更はありません」(同)
受け取り時の金額に気を付けないと損をするケースが
注意点もある。それは拠出時に節税メリットを受けられる反面、額によっては受け取り時に課税されるケースがあることだ。 「iDeCoの資産を一括で受け取る場合、税の計算を行う際に差し引ける『退職所得控除』が利用できます。『退職所得控除』は退職金の計算でも適用されますが、勤続20年までは毎年40万円、勤続21年からは毎年70万円が積みあがっていくような計算をします。例えば22歳から60歳までの勤続38年の場合、退職所得控除は2060万円となるため、この金額まで非課税で受け取れることになります」(同) 同じ人が年間24万円(月2万円)を60歳までiDeCoに拠出した場合、元本は912万円となる。退職金が1148万円以下であれば、課税額は0円ということになる。iDeCoの運用で大きく増やせた場合や勤務先の退職金が多い人は受け取り方を工夫したい。 では、分割で受け取る場合は? 「公的年金も含めて65歳未満で年間60万円、65歳以上で年間110万円以下であれば課税されません。もちろん課税されないことがすべてではありませんが、ご自身の公的年金とiDeCoの分割の受け取り額を意識して調整するケースもあるかと思います」(同) 逆に言えば、この条件から漏れてしまうと、現役時代には節税効果を得られたものの、受け取り時には課税される可能性もあるということになる。また、制度改正の可能性にも注意を払う必要がある。