“隠れV候補“の横浜DeNAがパ覇者に大敗で露呈した光と影…”番長”三浦監督が「この時期でいい試合だった」と語った理由とは?
ただ打線の潜在能力はセでトップクラス。 大敗の中で、昨季のパのタイトルを総なめにした山本を相手に絶好のデモンストレーションを見せた。先頭の桑原が初球の151キロのストレートを右へ狙い打ち。「エース級の攻略はカウントを追い込まれる前に仕留めろ」の鉄則を守った。続く楠本の打席でベンチが仕掛けた。カウント1-1からエンドラン。外角のボール気味のストレートだったが、食らいついて、うまく三遊間に転がし、一、三塁にチャンスを広げた。こういう機動力野球こそがキャンプからチームで取り組んできたテーマだった。 脇腹の怪我で1軍を離れた佐野が戻るまでに存在感を示しておかねばならない楠本は、「小技を成功すると得点チャンスが増えてくる。チームとしてそういうプレーの精度を上げ、1年間、やり抜くと決めたテーマを実戦で成功できたのが良かった」と自画自賛した。 そして3番起用されているオースティンがフォークを捉えてライト前へ先制タイムリー。 「しっかりコンタクトすることができました。先制することができうれしいです」 場面に応じて軽打に切り替えられるのが、オースティンの強み。だが、足元の打球に気を取られスタートの遅れた楠本が三塁へ進めないという隠れたボーンヘッドがあり、4番・牧がセンター前ヒットで続き、怒涛の4連打で、沢村賞投手を攻略したのに結果的に1点しか入らなかった。 三浦監督も「受けに回らず積極的に攻めにいけたことがよかったが、楠本が判断を誤ってサードまでいけなかったのが大きなポイント。あの流れで1点に止まったのが反省」とビッグイニングに広げられなかったミスを指摘した。 昨季は打撃10傑に3位・牧(.314)、5位・桑原(.310)、6位・佐野(.303)、7位・宮崎(.301)と4人が入るほど、個の能力の高い打線の得点力をアップさせるには、機動力を生かした“隠れたつなぎ“が重要になってくる。それをチームの課題としてきただけに三浦監督は手放しではなかった。 「横浜反撃」をチームスローガンに掲げた横浜DeNAは、ウイークポイントさえ克服できれば、昨季のヤクルト、オリックス同様に、最下位から優勝の可能性を秘めた“隠れV候補“である。阪神、中日、オリックス、広島などでコーチを歴任した評論家の高代延博氏も「ヤクルト、巨人など、どのチームも課題を抱えている。私は投手力という点で阪神が総合力で優勝候補と見るが、相対的に複数チームにチャンスはある。横浜DeNAの打線はいい。投手陣さえ整備できれば面白い」と分析している。 (文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社)