お茶に“お金を払う文化へ” 日本茶の価値を世界へ発信するJFOODOの挑戦とは
「日本茶にはとくに『テアニン』という成分が多く、心の沈静化作用、いわゆるリラックス効果があると言われています。これは、『カフェイン』が多く含まれ、覚醒作用のあるコーヒーとは異なる効果。このリラックス効果が、『マインドフルネス』と結びつけられると考えました。マインドフルネスの状態になるための手段として『瞑想』がありますが、これは心を落ち着かせてリラックスする効果があると言われています。この効果は、テアニンの効能とも合致するため、お茶を飲むことでマインドフルネスな状態になって欲しいという意味で『マインドフルネス・ビバレッジ』というコンセプトを設定しました。日本茶が、テアニンを多く含有しているという機能的な価値を伝えるだけでなく、それをマインドフルネスに結びつけることで、他国産のお茶と分かりやすい差別化ができると思いました」
そしてマインドフルネス・ビバレッジというコンセプトのもと、ミレニアル世代のオフィスワーカーをはじめ、ソーバーキュリアス層にも日本茶を浸透させたいと考えている。
「我々の調査の結果、お茶を飲んでいる層は20代後半から30代後半だということがわかりました。このいわゆるミレニアル世代には、ソーバーキュリアス層といって、あえてお酒を飲まない方もいます。そうした層の方々に、アルコールの代替品としてお茶を飲んで欲しいと考えたのです」
若年層に向けたオンライン・コミュニケーションに取り組むとともに、JFOODOは2021年から、食事とのペアリングを意識した日本茶ドリンクを開発。ペアリングを体験できる機会を創出することで、日本茶に対してお金を払う文化を根付かせようとしている。
「日本でも10年前までは水にお金を払う文化はなかったと思います。それが今では、当たり前にお金を出して水を買うようになりましたよね。そうした行動習慣は、お茶でも醸成できると考えています。日本でもお寿司屋さんなどで『あがり』としてお茶を無料で出すこともありますが、店側としても無料だと高いものはあまり出せません。有料化を通じて質の高い日本茶を提供することは、その価値を向上させ、お店側の利益にもつながります。日本茶は番茶から抹茶までいろいろな種類があるため、ワインなどと同様、食材と合わせるポテンシャルは高い。だからこそ、まずは食事と一緒にお茶を楽しんでもらうことで、お金を払うという文化を根付かせていきたいのです」