お茶に“お金を払う文化へ” 日本茶の価値を世界へ発信するJFOODOの挑戦とは
このように輸出額は増加する一方で、日本茶の生産量自体は減少傾向にあり、2006年から2022年までの17年間で、生産量は17%も減っている。
「背景として、高齢化の影響による担い手不足が挙げられます。では、なぜ輸出額が増えているのかというと、日本茶は高い単価で取引されているためです。そもそも面積の少ない日本は、中国などの広大な土地を持つ国に生産量では勝てません。そのため、量ではなく質で勝負する必要があるのです」
生産量が減少する日本と比較し、逆に大幅に増加しているのが中国だ。中国茶の生産量は2021年には300万トンを超え、日本の生産量の40倍まで拡大している。
「たしかに世界のお茶といえば中国茶のイメージが強く、事実、世界で40%以上のシェアを中国茶が占めています。しかし、製法の違いによる色の鮮やかさや『テアニン』という成分の含有量などクオリティの差は歴然としており、日本茶のほうが約3倍高い値段で取引されている現状があります。とはいえ、今のうちに日本茶のクオリティが高いというブランディングを通じて単価を上げていかないと、いずれ抜かれてしまうという危機感もあります」
ただ、前述した通り輸出額の多くは加工用の抹茶が牽引している状態であるという。加工してしまうと、直接飲む場合と比べて日本茶の良さが伝わりにくい。
「そこで海外でも、お金を払ってクオリティの高いお茶をそのまま飲んで欲しい。そのためのプロモーションをやっていくのが、直近の我々の動きです」
「マインドフルネス」と紐付けることで、JFOODOが発掘した日本茶の新たな価値
日本茶は、そのクオリティの高さを押し出し、単価を上げることを目指しているが、米国ではまだ無償で提供が一般化している。
こうした現状を受け、JFOODOは2017年度より日本茶に含まれる「テアニン」という成分に着目。「日本茶=マインドフルネス・ビバレッジ」というコンセプトのもと、情報発信をはじめとしたプロモーションを行うことで、「日本茶にお金を払っても良い」という認知獲得を目指している。