お茶に“お金を払う文化へ” 日本茶の価値を世界へ発信するJFOODOの挑戦とは
世界的に有名な高級日本食レストラン「NOBU」で、日本茶と食事の新しいペアリング体験も実現
具体的な取り組みを見ていくと、JFOODOではすでに、米国にある高級日本食レストラン「NOBU」とタイアップも実施している。
「NOBU」とは、日本料理を世界に広めた立役者の一人と言われる松久信幸氏がオーナーシェフを務める、高級日本食レストランだ。松久氏の料理に魅了された米国俳優の一人であるロバート・デ・ニーロから共同経営の誘いを受け、ニューヨークに初出店したのを皮切りに、現在は世界に50店舗以上を展開。松久氏は、世界一有名なシェフとも言われる。
そんな「NOBU」のニューヨークとロサンゼルスにある店舗で、タイアップが実現。現地の日本食レストランやバーを対象にしたセミナーイベントを開催し、これらのイベントの様子は現地メディアにも取り上げられている。さらに、ニューヨークの人気スポット「High Line(ハイライン)」では、ミレニアル世代のインフルエンサーを使ったイベントを開催。米国の高級和食店では、日本茶モクテルの有料提供も開始している。
「飲食店とコラボすることで、食とのペアリングを楽しんでもらうのはもちろん、今後はお茶の教育にも注力していきたいと考えています。とくに若年層へのコミュニケーションはデジタルを意識する必要があるため、産地の違いによる味の変化などが学べるコンテンツをSNSで発信しながら、気になったら外食で実体験をしてもらうという流れを作りたいです」
飲食店とのコラボレーションや健康志向が高い若年層をターゲットに、日本茶にお金を払うという文化を浸透させようと取り組んでいるJFOODO。最後に武田氏は、機能的な価値だけでは市場での差別化は難しいため、今後はブランドストーリーなど情緒的な価値が大事になると話す。
「私は日本企業と外資系企業の両方でブランディングに関わってきましたが、日本と比べて欧米のブランドは、情緒的価値を価格に反映することに秀でているのです。これはお茶などの生産現場にも当てはまり、どうしても日本の生産者の方は、おいしさという機能的な価値を重視します。もちろん、おいしいということは非常に重要なのですが、これからの時代、機能的な価値だけでは差別化できず、ストーリーなどの情緒的な価値が大事になってきます。特に日本は、伝統的な製法を代々引き継ぎ、その土地に根付く産品があるなど、サステナブルな生産方法が存在しています。これらはまさにブランドストーリーとなり、情緒的な価値を持っていると感じます。そうしたストーリーを、きちんと日本産食材の付加価値として反映させるのがブランディングであり、私たちが取り組むべきことだと考えています」