あなたの隣にもきっといる。質素な「FIRE」達成者たちへ会いに行こう(海外)
派手な贅沢が目標ではない
シャオ・ユー氏(37歳)は幼いころに節約する習慣を身につけた。中国で米作りをしていた両親はアメリカ合衆国に移住し、レストランで働いて最低賃金を得ていた。ユー氏本人はごく普通の学生で、借金せずに公立大学を卒業した。 努力して公認会計士および財務マネジャーになり、主婦の妻とともに2023年10月に経済的自立を達成し、会社勤めをやめて、税務アドバイザーとしての活動を始めた。退職前の年収は18万ドル(約2700万円)、自営業になってからは年収10万ドル(約1500万円)を目指している。 2児の父であるユー氏はインディアナポリス郊外にある約200平方メートルの家で暮らしている。これまで収入の35%から45%を貯蓄に回し、年間予算を守り、10年落ちの車に乗るなどしてライフスタイルの贅沢化を避け、1年から2年ごとに転職先を探すか社内で昇進を目指すかして、富を築いてきた。また、自身の財務のコーチングスキルを生かして同僚を確定申告や予算管理などでサポートし、追加の収入も得た。 そのおかげで、収入を休暇や家の改修、子供たちの将来への投資などに振り分けやすくなった。自由時間は、裏庭の花壇づくりなど、新しい趣味に費やしている。 「我々は富を自慢しない。お金が究極の目的ではないからだ。自分が生きたい人生を選択できる経済的な自由を得ることが、私たちの目標だ」とユー氏は言った。 確かに、多くのアメリカ人は豊かになるためではなく、ただ何となく生きていくために予算を立て、質素な暮らしをしている。給料日から給料日までを生きているアメリカ人は、投資したりリスクを取ったりする余裕がなく、そのため富を増やせずにいる。6桁(数千万円)の収入がありながらも、将来のための投資も、家を買うこともできずにいる世帯も存在する。 FRBが発表した最新の経済幸福度レポートによると、年収が5万ドル(約7500万円)から10万ドル(約1億5000万円)の世帯の14%が毎月の請求書のすべてを支払うことができず、全世帯の半分以上において過去12カ月で貯蓄が減ったそうだ。400ドル(約6万円)の緊急出費があった場合、それを全額現金で支払えると答えた世帯は63%に過ぎなかった。 一方、クレジットカード負債は1兆1400億ドル(約171兆円)を記録し、FRBによると、負債の3.25%は滞納、つまり30日以上支払いが遅れている。クレジットカードの支払いを滞納している人の割合は、グレート・リセッションのころ(2007年から2009年にかけて)に比べれば少ないが、ここ数年は上昇傾向にあり、借金返済に苦労している人が増えつつあることを示している。