次のパンデミックに備え ワクチン国内製造の動き始まる【WBS】
新型コロナウイルスが猛威を振るった当初、国内ではワクチンを製造できなかったため、100%輸入に頼る結果となりました。次なるパンデミックに備え、国内でワクチンを製造する動きが始まっています。 神奈川・藤沢市にある多くの製薬会社やバイオベンチャーなどが研究拠点を設ける「湘南アイパーク」。17日、新型コロナワクチンの製造で知られるアメリカのバイオ医薬品企業「モデルナ」の経営トップの姿がありました。 「私たちはバイオテクノロジーと製薬の分野でリードしていくために、日本が非常に重要な位置を占めると考えている」(モデルナのステファン・バンセルCEO) モデルナは湘南アイパークでワクチンの製造を開始すると発表。日本はモデルナのコロナワクチンをこれまで輸入してきましたが、数年後にはそのワクチンが国内で製造可能になります。 「この施設(湘南アイパーク)の中の1区画を使って製造設備を建てていく予定。日本の人口のほとんど全てをカバーできるものを、1年以内に製造することを目指す」(モデルナ・ジャパンの長山和正社長)
ワクチンの製造拠点を整備する取り組みは、経産省が約3200億円を投じる「デュアルユース補助金」によるものです。 デュアルユースとは、平時と有事で2つの異なる使い方ができる設備のこと。この施設では、平時はインフルエンザやコロナのワクチンなどを製造しますが、パンデミックなどの有事が起こった際には、新しいワクチンの製造に24時間以内に切り替えられるといいます。 モデルナのバンセルCEOに直接話を聞きました。 「日本にワクチン製造拠点を設立する意味は?」(豊島晋作キャスター) 「私たちは生産技術の規模を拡大し、優れた製品の要素と日本の技術を組み合わせて、世界に向けて発信できる」(バンセルCEO) 日本に注目した背景には、補助金などを通じた日本政府の後押しがあったといいます。 「コロナ前後で日本政府は変わったと思うか?」(豊島キャスター) 「日本政府は国内の大学に素晴らしい科学的知見があることを分かっている。しかし今の日本は科学を製品化できる産学連携の枠組みが十分にないことに気付いた。だから私たちモデルナは製品や雇用の創出だけでなく、その枠組み作りに貢献したい」(バンセルCEO)