次のパンデミックに備え ワクチン国内製造の動き始まる【WBS】
経産省「創薬力を立て直す」
経産省のデュアルユース補助金を使ってワクチンの製造拠点を作る企業は他にもあります。少ない成分で効果が長く続くとされるレプリコンワクチンを開発する「Meiji Seika ファルマ」です。レプリコンワクチンは国内で一部製造するものの、輸入する分もあるといいます。補助金を使って製造設備を新設して、供給量を大きく増やしたい考えです。 「レプリコンワクチンの技術はワクチンだけではなく、がんや免疫疾患への治療薬として新たなアプローチになりうる。研究開発の輪を広げて、製剤工場でできるものの価値を最大化したい」(「Meiji Seika ファルマ」の小林大吉郎社長) 一方、補助金を支出する経産省は、コロナ禍でワクチンの多くを輸入に頼った事態を繰り返さないと意気込みます。 「コロナ禍では日本の力が一歩及ばなかった。創薬力を今一度立て直す」(経産省生物化学産業課長の下田裕和さん) 「もし次にパンデミックが起こったときに、全てを輸入に頼る事態にはならない?」(豊島キャスター) 「それは約束したい。まず拠点を日本に造り、日本で製造する」(下田さん) 「厚生労働省だけには任せておけない?」(豊島キャスター) 「今でも厚労省と二人三脚でやっている。政府一体となって取り組んでいきたい」(下田さん)
材料・装置なども国産化へ
こちらの地図で示しているのが、現在経産省が整備を進める新たなワクチンの製造拠点です。全部で8拠点、第一三共や富士フイルム富山化学など、日本の大手メーカーが立ち上げる施設も含まれています。 ただ、こうした拠点でワクチンを作るためには、様々な設備や製品が必要になってきます。しかし、例えばバイオ装置やワクチンを入れる薬瓶なども生産能力が足らず、これまでほとんど外国の製品に頼ってきました。このため設備や製品も国産化しようという動きが徐々に進んでいます。 部材メーカー「ZACROS」はワクチンの製造過程で溶液を入れるビニールバッグを手がけていて、経産省の補助金を使って年内に国内の工場を増設するということです。こうした国内の体制が整えば、かつてのコロナ危機の際のように輸入されるワクチンをただ待つという事態は今後避けられるかもしれません。 ※ワールドビジネスサテライト