【離婚は反社会主義的行為?】北朝鮮が国民の「反離婚キャンペーン」を展開 離婚申請者は半年、相手も1か月の強制労働改造所送りに
北朝鮮では2020年以降、新型コロナウイルスの流行で国境を閉鎖したことで、国民が厳しい生活苦に襲われた結果、家庭生活が破綻し離婚が増えているという。しかし、北朝鮮当局は「離婚は反社会主義的行為」であるとして、離婚した夫婦を強制労働改造所送りにしていることが明らかになった。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
離婚した夫婦は30代が最も多く、次いで40代で、育ち盛りの子供もいて、食費などもかさむが、3年半続いたコロナ禍の中で、生活苦が続いたことで、離婚を申請することが多くなったという。 とはいえ北朝鮮では「夫婦」や「家庭」は社会の一つの細胞であると見なされており、「離婚は悪」とさえ言われている。そのため離婚手続きは容易ではない。協議離婚はできず、裁判による離婚のみが認められている。それでもなお離婚を望む人たちは多いという。 コロナ禍が明け、朝早くから裁判所の前に、離婚を求める女性の数が多くなると、北朝鮮当局も尋常ではない事態と認識し、党の外郭団体である「朝鮮社会主義女性同盟」も2023年から「離婚という現象を徹底的になくし、社会の細胞である調和のとれた家庭を築こう」と呼びかける「反離婚キャンペーン」を展開するようになった。 しかし、それでも離婚の申請数が減らず社会問題化したことから、金正恩朝鮮労働党総書記の許可を得て、朝鮮労働党の当局者は離婚申請者に対しては半年間、もう一方に対して1か月間のそれぞれ強制労働改造所送りにすることが決まり、2024年初めから実施されているという。 離婚者は労働党員であっても党籍をはく奪され、住居や職、子弟の教育などの優遇措置が取り消されるなど厳しい処分を受けることになるが、いまだに離婚申請者数は1年前とほとんど変わらないという。